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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『ダンジョン』FORKが魅せた!
『フリースタイルダンジョン』レビュー

『フリースタイルダンジョン』歴史に残るパンチラインを放ったFORKが火曜の夜にトレンドワード入り!

見る者が次々に信者になっていくFORK劇場

 続いて召喚されたモンスターはFORK(ふぉーく)。彼にとってSAMは、かつて負けた因縁の相手だ。一方のSAMは、FORKの登場に露骨に顔をしかめている。一度は勝利したものの、厄介な相手と認識しているのだろう。ステージに上がったFORKにSAMが頭を下げて会釈した。

 バトル前、ルーレットが指したのはLOWビートの8×3だった。これはまずい。LOWビートでFORKに勝てる者がいるとは思えないからだ。先攻はFORK。

「やる前にお辞儀なんていらねぇ
お前の叔父貴でもなんでもねぇ
もうじきお前が負けちまって葬式が見えるような感じだと思っちゃってるぜ 正直
掃除機みたいにお前を吸い取る
お前はどこだっけ? 栃木? 知らねぇ だからお辞儀したのかな」

 すごすぎてわけがわからない。文脈に合わせ、ガッチガチに踏みまくるFORK。しかもだ。バトル直前、SAMは実際にお辞儀をしていた。つまり、この驚異的な1バース目は完全即興ということ。ここまでくると、達人すぎてFORKの頭がおかしく思えてしまう。

 モンスター2人を倒して波に乗るSAMも、負けじと踏み返した。

「相手 ごちそうさま スカーフェイス トニー・モンタナ
フリースタイルダンジョン お待ちどうさま」

「俺はポーカーフェイスの裏 磨いできた牙
でも 突き立ててんのは あんたとシーンと新木場」

 次はFORKの番だ。

「ポーカーなんだ? ポーカーフェイス? ジェダイ? よくわかんねぇ
いろんな調べてきた固有名詞出して 韻踏まれても
全員 こういう目して 見てると思うよ」

 鳥肌が立つどころの話ではなく、エグすぎて笑いすらこみ上げてきた。確かにSAMはカッコいい。でも、固有名詞が多いな……と思っていたところに、こんなパンチラインが放り込まれたのだから。呂布とERONEにクリティカル勝ちしたSAMにみんなが虜になりかけていたところ、FORKが大人の色気で根こそぎかっさらっていった格好だ。モンスタールームを見ると、他のモンスターの沸き方が尋常ではない。特にR-指定と呂布は、もはやFORKの信者のようですらある。仲間もFORKにかっさらわれていた。

 2人のバトルは、この一発ですべてが決まってしまった。結果はFORKのクリティカル勝ちだ。そして、固有名詞に“こういう目”をしていたわれわれにもクリティカルだった。固有名詞ばかり使うラッパーに対応できるライムを、このバトルでFORKが発明したと言っても過言じゃない。どんなにSAMが韻を踏んでも全てを無効化するパンチラインだったのだ。

 バトル前のインタビューでFORKはこう発言した。

「今日は(収録の)最後に(SAMが)出てくるから、『6対4や7対3で俺が勝ってた』くらいの感覚だと負ける可能性がある。10対0で勝つくらいの気持ちでいかないと」

 FORKの言うことに間違いはない。冷静に戦況を把握している。みんなが「ID vs SAM」を期待しているこの状況。そんな中、もしも7対3でFORKが優勢だとしてもSAMに票が入る可能性は大きかった。FORKは見事に10対0で勝ちをもぎ取ったのだ。

 FORKの恐ろしさは、相手が強いときほど強さが際立つ性分だ。ライム強者とのバトルだと、相手のスキルを必ず悠々超えてくる。「2019年の顔はSAMとアウソ」とSAMは言い放ったが、そんな現役バリバリの2人をUMB2006王者のFORKが2タテしているという事実が尋常ではない。

 ちなみに、バトル直後のTwitterでは「FORK」の4文字がトレンドワード入りしていた。そのくらい火曜の深夜に、みんなFORKに喰らっていたのだ。

 3代目モンスター、いよいよ難攻不落である。何より、2代目時代と比べてFORKと呂布の仕上がりがよすぎる。2代目の頃に得た知識とノウハウによって、飛車角の2人がより盤石になってしまっているのだ。さらに、ラスボスに控えるのは“最強”R-指定である。彼にもそろそろ出番がほしい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2020/04/14 16:01
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