『ザ・ドリームマッチ』千鳥・大悟とハライチ・澤部の“ジャズ漫才”
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オードリー・若林「こんな世界って広いんすね、お笑いの」
この調子で10組すべてを書くと膨大な量になるので、あと1組だけ。
9組目のオードリー・若林と野性爆弾・くっきー!のコンビ。なぜくっきー!を選んだのか。その理由を若林は「せっかくなら一番見えない人と」と語った。春日という奇天烈な芸人を相方に持つ彼は、西から来た別の奇天烈な芸人を選んだ。
2人のネタ作りは、お絵かきから始まった。ネタは台本にせずに「だいたい絵で提出する」というくっきー!に、若林が合わせた形だ。独特なスタイルのネタ作りに、若林がこう漏らす。
「こんな世界って広いんすね、お笑いの。もう1回、1年目からお笑いやりたいなとか思ってます」
そんなネタ作りの末に披露されたコントは、ちょっともう説明しづらい。透視やサイコキネシスといった超能力を持つ兄妹が泥棒をするという設定なのだけれど、もともと絵で表現された世界観を、言葉に移し替えるのは難しい。
とりあえず、妹役のくっきー!がガラスを割る。ドアのガラスを割り、ディスプレイケースのガラスを割り、金庫をバックドロップしてテーブルのガラスを割る。繰り返されるガラス割り。2011年の『ザ・ドリームマッチ』でくっきー!がおぎやはぎ・矢作とやったコントにもガラスを割るシーンがあったことを思うと、9年越しの繰り返しだったりもする。
こんなふうに、粗暴な妹(くっきー!)に振り回される兄(若林)という構図でコントは展開する。兄は妹を終始なだめつつ、金庫を開けようとする。それでも荒れる妹に、兄は知恵の輪を渡す。部屋の隅で知恵の輪に夢中になる妹。すると、部屋に置かれたベッドが光り、布団が浮き、宇宙人が現れる。兄はヒーロースーツ姿になり、超能力で宇宙人と対決する。しかし、能力対決で負け、頭から血を流して倒れる。
それに気づいた妹が、やはりヒーロースーツ姿になる。兄の血を顔に塗り、怒りに震える妹。部屋の中の小物が浮く。時計の針がグルグル回る。部屋が揺れる。窓ガラスが割れる。「お兄ちゃんをいじめるな!」と叫んだ妹は、警棒のようなものを取り出し、宇宙人を殴打する。倒れる宇宙人。立ち上がる血だらけの兄。金庫を持ち上げる妹。部屋を出ていく2人。しかし、2人が去った部屋では、宇宙人が復活していたのだった――。
文字にすると、あらためて意味がわからない。いや、映像で見ても意味がわかるわけではないけれど。
オードリーが世の中に出てきたとき、ロボットと博士、みたいな例えをしばしば目にした。操縦される春日と、操縦する若林という見立てだ。しかし、そこから10年以上がたち、春日と同様の奇天烈な芸人と披露したネタでは、なんだか若林のほうが操縦されているようにも見えた。これまでも時々テレビで若林が見せてきた自身の少し尖った世界観が、くっきー!を触媒に解放されたようでもあった。
久しぶりに放送された『ザ・ドリームマッチ』。ここでは触れなかったコンビも、全組面白かった。芸人たちが普段とは異なる組み合わせでネタを作るそのさまは、これを好機とばかりに自分たちで自分たちのネタやキャラクターを二次創作しているかのようでもあり、そういう見方でも楽しめるものがあった。
あと、意味がわからないネタに対して多部未華子が首をかしげる様子が映ったり、川島海荷の「よくわからなかったんですけど、面白かったです」という率直なコメントが採用されていたりしたのもよかった。こういうネタ番組に審査員的な立ち位置で出演する非芸人からは、よく「感動しました」みたいなコメントを聞くけれど、うそつけ、と思うから。
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