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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 大悟とハライチ澤部のジャズ漫才
テレビウォッチャー飲用てれびの「テレビ日記」

『ザ・ドリームマッチ』千鳥・大悟とハライチ・澤部の“ジャズ漫才”

千鳥・大悟「(このネタは)ノブとではできない。澤部とじゃないとできない」

 1組目はハライチ・澤部×千鳥・大悟。コンビが成立した2人は、スタジオを出たその足で喫煙所へ向かう。軽く打ち合わせを済ませると、「飯行ってくるわ、ワシ」と大悟はその場を立ち去った。大悟が向かう食事会には、誰がいるのだろうか? 志村けんがいるのだろうか? どうしても、そんなことを想像してしまう。

 そういえば、『ザ・ドリームマッチ』には志村が審査員的な立場で毎回出ていた。ネタを披露する側で出演したこともあった。『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)と放送日時がかぶっていなかったら、もしかしたら出ていたのかもしれない。すべては想像でしかないけれど。

 さて、喫煙所での軽い打ち合わせから4日後、2人は吉本興業の東京本社でネタづくりを始める。その冒頭、大悟が「(ネタが)できました、もう」と澤部に告げる。

「いやマジで、澤部とワシでしかできないネタやと思う。というか、澤部じゃないとたぶんこれはできない。ノブとではできない。澤部とじゃないとできない」

 そんなこんなで出来上がった漫才が、スタジオで披露される。センターマイクの前に立つ2人。タバコを吸わない人が嫌わないようなタバコができればよいのに、と大悟が語り始める。そんなものができたら大発明ですよね、と澤部が受ける。続けて大悟がつぶやく。

「ニオイのないタバコ」

 大悟は「煙の出ないタバコ」「煙の中のアナゴ」「雑に抱いたあのコ」と、語感を少しずつズラしながら次々とフレーズを繰り出していく。それを澤部がノリながら打ち返す。ハライチのノリボケ漫才だ。ただ、「タバコ」とか「アナゴ」といった単語の選択に大悟テイストが交じる。

 しかし、2人の漫才は転調する。「ヤツの名はジャンゴ」「伝説の男、イレイザー・ジャンゴ」と、謎の人物の名前を大悟が放り込む。大悟がイレイザー・ジャンゴとして登場し、澤部がそれに振り回されていく。さらに、赤岸鉄平なる人物の名前まで登場する。これはもう千鳥の漫才だ。ただ、ノブとは違い、澤部は大悟の奇妙な世界観にツッコミを入れずにノリ続ける。困惑しながらも最後までノリ続ける。

 そして、大悟の「ポケットからウンコ」のフレーズをきっかけに、「煙の中のアナゴ」「雑に抱いたあのコ」と、ハライチのノリボケ漫才へと戻っていくのだった。

 大悟は打ち合わせで「澤部とワシでしかできないネタ」と言っていたけれど、披露されたのはまさに千鳥とハライチが混交したような漫才だった。語感を少しずつズラして繰り出されるフレーズに澤部がノッていく。そんなハライチの漫才のフォーマットを少しずつズラし、千鳥のテイストが混ぜられていく。そこに澤部がずっとノッていく。しっかりした構成に、アドリブのようなやりとりが乗っていく。

 たぶんスピードワゴン・小沢なら「この漫才はジャズだね」と評する。そんな漫才に笑った。

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