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日刊サイゾー トップ > 社会  > 「コロナ離婚」に備えておきたいこと
『ゴーン・ガール』を観る、メールを下書きしておく…etc.

「コロナ離婚」の前に備えておきたい5つのこと! 最高級炊飯器は買っておくべし?

離婚を「シゴト化」することでマインドセット

(4)友人に離婚を伝える文面を下書きしておく

 離婚した場合の友人や職場の人への知らせ方は、悩みどころ。こちらから伝えるのか、聞かれるまで言わないのか。伝える範囲はどこまでか。結婚パーティーの出席者へは報告マストか否か。伝える手段は口頭か、メールか、LINEか。LINEなら友達グループへ一斉に投げるのか、個別か。離婚理由は説明するのか、しないのか。説明するならどこまでするのか。トーンは前向きか、後ろ向きか。妻と共通の友人にはどちらが伝えるのか――。

 前出Cさんの場合、報告文面を関係性別に何パターンも作り、かつエクセルでいつ、誰に、どんな方法で、どんな文面で送るかを、離婚前から前もってまとめておいたという。「以前に離婚しかけた際、友人に伝えるのが面倒だと思って結局離婚できなかったんです。その反省から、あとは送るだけの状態にしておきました。離婚を貫徹するためのマインドセットです(笑)」。離婚の“シゴト化”、ここに極まる。

 

(5)心を「離婚やむなし」モードにする映画を観る

 妻からのモラハラに我慢できず離婚したEさんは、自己投影できる主人公が出てくる離婚モチーフの映画を観ることで、「自分がいかにかわいそうな被害者であるかを改めて確認」し、「僕は離婚してもいい、当然だ」という気分を盛り上げた。「夫婦が徹底的に傷つけ合い、『結婚は地獄』に至る結末の作品がおすすめです。洋画なら『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』『ブルーバレンタイン』『テイク・ディス・ワルツ』『ゴーン・ガール』、邦画なら『夢売るふたり』あたりが、マゾヒスティックでいい。

 一方で、離婚がテーマならどんな作品でもいいわけではないという。「離婚しても夫婦は仲良しとか、人間的にはリスペクトしあってる、みたいなヌルい映画はダメです。『マリッジ・ストーリー』はずばり離婚がテーマですが、夫婦の絆が美しすぎる。『her/世界でひとつの彼女』も映画としては素晴らしいけど、主人公の男が元妻に謝罪と感謝を伝えて『生涯の友』でありたいとか言っているので全然ダメ」。なお、テレビドラマ『最高の離婚』(フジテレビ)について聞くと、「あれは離婚した後に見るドラマです」だそうだ。

 出口の見えない地獄の渦中に身を置いている時、この地獄を脱出して浴びる光を想像することだけが、彼を狂気の淵から遠ざける。無実の罪で監獄に送られるも、見事脱出して復讐を遂げた『巌窟王』のモンテ・クリスト伯は言った。

「待て、しかして希望せよ!」

稲田豊史(編集者・ライター)

編集者/ライター。キネマ旬報社を経てフリー。『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)が大ヒット。他の著書に『ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生』(朝日新書)、『オトメゴコロスタディーズ フィクションから学ぶ現代女子事情』(サイゾー)、『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)、『ぼくたちの離婚』(角川新書)などがある。

いなだとよし

最終更新:2020/04/16 11:11
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