パチンコ業界から断末魔の悲鳴! 大混乱の中小ホールで始まった“サバイバル競争”
#パチンコ #緊急事態宣言 #新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言を受け、東京都の小池百合子知事が休業要請の対象を正式に表明。発表前から自主休業を選択する店舗や企業が徐々に増えていたものの、対象となった業種の関係者たちの中では改めて動揺や不安が広がっている。「クラスターの発生源になる」となると、かねてから批判の矢面に立たされてきたパチンコ業界関係者の叫びも悲痛だ。
「休業要請に1カ月でも従えば、大手以外の中小店舗は立ち直れないくらいのダメージを受ける。土地代や家賃、人件費、備品のコストもそうだが、何より大きいのは機械代。手形を切って設備投資をしている店がほとんどのなかで、稼働が止まれば資金が枯渇して倒産まっしぐらというケースがそこら中にあります。今回の新型コロナ禍では、業界全体的に協力して危機を乗り越えようと、支払いに関する調整の動きもあると聞きますが……いつまで続くか疑問です。いずれメーカーやスタッフ派遣事業などなど、関連業種の連鎖倒産がいつ起こったとしても不思議ではない」(パチンコ店店長A氏)
マルハン、ダイナム、キコーナ、日拓グループなど業界大手は、休業要請の表明以前から、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都道府県を中心に一部店舗の自主休業を表明している。しかし、そのほかの体力がない多くの中小パチンコ店にとっては、休業すなわち倒産の危機に直面。要請に従うかどうかが、まさに死活問題となっている。
「中小パチンコ店は、自身の店舗の近くに出店する大手に客をごっそり持ってかれまいと、営業努力を続けてきたところが少なくない。新型コロナ禍が去った後、中小パチンコ店の屍をよそ目に、大手がさらに影響力を強めることも充分あり得ます。大手も現状についてそこまで穿った考えはしていないと思いますが、とはいえ業界の淘汰を加速させる方向に作用しそうです」(前出、A氏)
また他の関係者からはこんな声も。
「休業要請の前後から、一部のパチンコ店では“貯玉”の換金・引き出しが一気に増加したとの話も聞きます。店によって貯玉の量の割合は違うので一概には言えませんが、なかには100万円分くらいを貯めていた人も実際にいたとか。店から現金がなくなるという意味で、これまたパチンコ店にとっては打撃です」(元パチンコ店店長B氏)
貯玉とは、客が出玉を換金せず会員カードなどに貯めておくことだ。パチンコ店は地域や店舗によって交換率が異なり、常連客にとっては貯玉した方がお得に遊べる場合がある。そのパチンコ店に預けていたパチンコ玉・メダルの“貯金”が、一斉に引き出されているという訳だ。いわば、銀行における取り付け騒ぎに近い現象が起こり始めている。
「休業要請に罰則がないことも、いささか混乱した状況を生んでいます。都内のある地域では、周辺の店舗が自主休業、もしくは休業に従うなか、応じず店を開けている店舗もある。だからといって、頭ごなしに彼らを批判することはできない。今回の一連の動きで、国や都は助けてくれないことがはっきりした。彼らも自分たちや従業員の生活を抱えているので、批判があっても最後まであがかないとダメだと覚悟を決めているのでしょう」(前出、C氏)
さらにパチンコ店は 、「セーフティーネット保証」の対象外にもなっている。セーフティーネット保証とは、経営の安定に支障を生じている中小企業者について、中小企業信用保険法に基づき、無利子無担保で融資を受けることができる制度。社会問題への行動を呼びかけるキャンペーンサイト「Change.org」には、「今回、同じ風俗営業でも、バー、ナイトクラブ、ダンスクラブ、麻雀クラブなどが(対象に)追加された中、パチンコ店は対象外」であるとし、職業差別を是正するよう呼びかける声が上がり始めている。
現在、日本社会は「トロッコ問題」に直面している。というよりも、すべての業種の人々が線路の上に並べられており、「誰が先に轢かれる」のか恐怖感が日毎に増している状況だ。セーフティーネットからも除外され、やむを得ず休業要請に従わないパチンコ店(もしくは休業要請の対象業種)には今後、批判が集中するだろう。ただし、新型コロナが長期化すれば、国や各自治体は次から次へと“とかげのしっぽ切り”に乗り出すはずだ。
次にどこがターゲットとなるかは誰にも分からない。東京五輪の延期までダンマリを決め込み、延期となった途端、埋め合わせのように中途半端な補償案で休業要請を拡大する小池都政の政治パフォーマンスを鑑みれば、犠牲となる業界もしくは特定の人々が次々に現れることは容易に察しがつく。
中小パチンコ店で始まったサバイバルと混沌は、社会のセーフティーネットを失った業界の明日の姿だ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事