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『フリースタイルダンジョン』レビュー

『フリースタイルダンジョン』ダンジョン攻略の大本命? SAMが呂布カルマをボコボコに

ついに明らかになった、呂布カルマ攻略法

 2人目のチャレンジャーはSAM(さむ)! この番組にはブラックモンスターとして登場したこともあり、そのときにはなんとFORK(ふぉーく)を撃破している。彼の2019年の活躍を見ると、戦極や凱旋などで数度の優勝を重ねており、戦績がえげつない。そして、SAMはプライベートでIDと仲が良く、相方ともいえる関係性である。彼は戦いたいモンスターとしてIDの名を挙げた。

「戦極20章で優勝したときに、(IDに)焼き肉を奢ったんですよ。そのときに(IDは)『人の金で食う焼き肉はうめえなあ!』って、5,000円くらいする焼き肉をめっちゃ頼んだんですよ。で、最終的に3~4皿まったく手を付けずに残していったんですよ。そのときに“フリースタイルダンジョンで首洗って待っとけよ”って思ったですね」(SAM)

 そんなSAMの前に立ちふさがる最初のモンスターはTKda黒ぶち(てぃーけーだ・くろぶち)だった。……が、SAMはチェンジカードを使用!

「前に(TKに)マックシェイクを奢ってもらってるんすよ」(SAM)

 ふざけているようで、侮れないやりとりだと思うのだ。IDとの焼き肉やTKとのマックシェイクのエピソードで、いつの間にかSAMが会場の空気を自分のものにしている。

 TKの代わりに登場したモンスターは呂布カルマ(りょふ・かるま)だった。チェンジカードを使うと、その代わりに出てくるのは呂布かFORKの確率が高い。チェンジカード=呂布かFORKの召喚カード。

 しかし、だ。Atmoshiphere(あともしふぃあ)戦で「史上最低のチェンジカードの使い方」と呂布は言ったが、SAMは過去に数度呂布とバトルをしており、かなり勝ち越している。相性のいい相手なのだ。チェンジカードの後は呂布かFORKが出てくると見越してのチェンジだとしたら、とんでもない策士である。戦前の煽りVTRで、SAMは呂布をこう評した。

「あの人はないんじゃないですか、弱点なんて。油断できないですね。ちょっとしたミスでもバコーンって揚げ足取られて」(SAM)

 こんなことを言う人間に限って自信満々だと相場は決まっている。先攻は呂布だ。

「ようこそSAM 俺がもてなす
決してこの先は通さず
チェンジカード使ったら死亡フラグが立つ
再び呂布カルマがここに立つ
達人スキル見せつける
SAMの首切り抱いてここに出す
稀代のMCがやる時はやる
見せつける呂布カルマのスタイル」

 おわかりだろうか? 1バース目の最初から最後まで脚韻を全部踏んでるのだ。半端ではない。呂布の最近の好調っぷりは今回も健在のようだ。

 一方のSAMは、とぼけているようで入念に準備をしてきている。

「TKさんは奢ってくれたからチェンジした
あんたは自分に驕ってっから殺しに来たんすよ」

「なんかもうめっちゃにらんでるっすね
気短いんすか あそこの木も短いっすね
じゃあ俺の前じゃ長生きはできなそうだな」

上記2つはSAMが仕込んできていたネタのはず。そもそも、サングラスをかけている呂布に「にらんでる」と指摘しており、対話しているようでそうではないことは明白だ。そこから「長生きはできなそう」につないだのは台本通りだったはず。しかし、ちゃんと即興のアンサーも返しているので無理やり感はない。ネタとの織り交ぜ方は抜群、そういう意味でも準備万端だった。「TKは奢ってくれたからチェンジ、呂布は驕ってるから殺す」も韻を踏んでいるし話の筋も通っているし、脱帽である。

 そして、形勢が一気にSAMに傾いたのは以下のやりとりだった。

呂布「TKが奢ってくれた肉 生憎 俺はそんなに優しくねえ」

SAM「いや 肉じゃなくてマックシェイクっす
   ちゃんと聞いてください
   マックシェイク 奢ってもらったのはマクドナルド
   2019 去年の顔はSAMとアウソ」

 呂布が肉とマックシェイクを間違えていなくとも、マックシェイクに触れられれば「マクドナルド」と「SAMとアウソ」につなげていたはずだ。仕込んでいたネタだとしても、ちゃんと誘導してからのアンサーになっている。だから、強引さは皆無。ネタの出し方として完璧だった。

 1R、SAMはこんなライムで締めた。

「今年も俺に注目だぞ
IDとはここが集合場所」

 ものすごいパンチラインだ。どのチャレンジャーも意気込み、緊張してしまうダンジョンのステージを、ただの「集合場所」と表現したSAM。最後の最後にこれを持ってくるのは圧倒的。見事すぎて、あざとささえ感じない。

 結果は、SAMのクリティカル勝ち! モンスタールームが一気に色めき立ったのがわかる。むしろ調子の良かった呂布をボコボコにしてしまったのだから。

 思うに、SAMは終始落ち着いていた。「集合場所」のくだりに表れているように、まったく気負っていない。いつもは呂布が余裕を見せるはずなのに、このバトルではSAMが呂布を余裕で上回った。平常心で呂布の揚げ足を取り、それに熱くなった呂布はペースを握られてしまった感がある。皮肉にも、SAMのほうが“鋼鉄の心臓”に見えたのだ。呂布カルマというモンスターの攻略法を見せられた印象だ。

 いきなり呂布を倒し、SAMは一気に流れを掌握した。これからの展開が楽しみだ。リベンジを期するFORKとのバトルが見たいし、もちろんIDとの対決も見たい。SAMがクリティカルで勝った瞬間、周りにバレないようにひそかにうれしそうにしていたIDの表情はほほ笑ましかった。

 何より、「ラスボスのR-指定までたどり着くか?」という期待をSAMには抱ける。R-指定とSAMはネタの引き出し方など、スタイルがすごく似ている。最近のR-指定はバトル後にただ感想を言う人みたいになっているので、そろそろ出番が訪れてほしい。ラスボスとの踏みまくり対決には期待大だ。

 次回、SAMの前に立ちふさがるモンスターはERONE(えろーん)。押韻主義同士のバトルだ。こんなに続きが楽しみな『フリースタイルダンジョン』は久しぶりである。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/04/07 20:00
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