志村けん訃報と、テレビ界に広がるソーシャル・ディスタンス
#お笑い #志村けん #加藤茶 #テレビ日記
加藤茶「大好きな志村よ」
志村けんの訃報が報じられたのは先月30日。入院が伝えられてから、わずか6日後のことだった。
29日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、松本人志は「志村さんには、回復したときにはホントに周りからみんな、タバコをやめさせましょう」と語っていた。しかし、その翌週の5日には、同番組で訃報を報じなければならなくなっていた。
1日には、『志村けんさん追悼特別番組』(同)が放送された。出演者には、ザ・ドリフターズの加藤茶、仲本工事、高木ブーに加え、コント番組で共演してきた研ナオコといしのようこが並んだ。
全国の老若男女が知る著名人の逝去。入院が報じられてから訃報までのスピードの速さも含め、今回の志村の訃報はショッキングだった。また、このウイルスに感染して亡くなると、親族がその死を看取ること、見送ることができないということを、志村の死は広く知らしめた。このウイルスは、最期まで人と人を引き離してしまう。
そして、今回の追悼番組もまた、出演者同士を遠く離れて座らせる形で放送された。番組の途中、研とやりとりをしていた加藤が、思わず口にしてしまう。
「だいたい、コメントするにも遠すぎる」
コメディアンの死をあまり沈痛なものにしたくないという思いから、番組は笑いを交えながら進行していく。過去のコント映像が流れ、出演者が思い出話を語る。変なおじさんをはじめ、名キャラクターの大きな写真が複数枚掲げられたスタジオは、なんだかコントのようでもあった。
番組は、加藤の弔辞で締められた。少し長いが、全文引用する。
「弔辞。志村、ひどすぎるぞお前。一番若いお前が、俺たち差し置いて天国へいっちゃうなんてな。まだ俺たちと一緒にやらなきゃならないことがたくさんあっただろう。それを勝手にひとりで先にいっちゃうなんて。お前はバカだよ。天国の長さんも、まさかお前が最初に来るなんて、思ってなかっただろうな。びっくりしたと思うよ。長さんの次は、高木ブーだと思ってたもんな。でも、久しぶりに2人きりでいろんな話ができるから、長さんも喜ぶんじゃねぇかな。まあ、いずれそう遠くないうちに、俺たちもそっちにいくと思うから、それまで長さんと酒でも飲み交わしながら、ドリフの新しいネタでも考えといてくれよ。5人がそっちに全員集合したら、そっちのお客さんを大爆笑させようぜ。約束だぞ。じゃあ、それまでゆっくりと休んでくれ。大好きな志村よ。令和2年4月1日、ザ・ドリフターズ、加藤茶」
今回の訃報で印象的だったのは、志村の死に関して街頭インタビューに答える人たちから「コロナの問題を身近に感じた」との言葉が複数聞かれたことだ。
その姿で多くの人を笑わせてきたコメディアンは、テレビを挟んで遠く隔たったところにいるはずなのに、とても身近な存在だった。そんな彼が、人と人をどこまでも隔てるウイルスで亡くなった。最も身近な人たちが、彼の最期に立ち会えなかった。その事実は、どれだけ楽しく、明るく見送ろうと思っても、やはり悲しい。哀悼。
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