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新型コロナウイルス危機で「戦時下の首相」に…自民党は“安倍4選”一色

安倍晋三首相

「日本が戦後、経験したことのない国難」

 4月1日の参院決算委員会で安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大による現状をこう表現した。

 この「国難」を前に、国内の政治情勢は先行きが全く見通せなくなった。東京五輪の1年延期が決まったことで、今秋から来春にかけて行われると目されていた「解散総選挙」の機運は一気にしぼんだ。

 今年7月の東京都知事選は、小池百合子知事と対立する自民党都連が対抗馬の擁立を断念したことで、小池氏の続投が決定的となった。その一方で、来年9月に自民党総裁任期を迎える安倍首相は、コロナ禍で解散総選挙を仕掛けらない中、どのように政権の求心力を維持し続けていくのか。コロナへの対応に失敗すれば支持率は急落し、政権がレイムダック化する可能性も指摘されている。

 ところが、そうした観測とは裏腹に自民党内ではこれまで以上に「安倍4選」へのムードが高まっているという。永田町関係者はその理由をこう語る。

「コロナ危機に対して、米のトランプ大統領は『私は戦時下の大統領』と述べましたが、これは11月に控える米大統領選をにらんだ発言です。つまり、戦争中と同じような国家の有事に、今の大統領を変えることは大きなリスクになるというメッセージ。これは、日本でも同じで、安倍首相が『長期戦の覚悟を』と言っているのは、コロナウイルスとの長期にわたる戦争であることを示唆する『戦時下の首相』であることのアピールです。戦時下ではよほどの失策がない限り、トップを引きずり降ろすことは難しい。それゆえ、コロナが長期化すればするほど『安倍4選』は現実味を帯びてくるのです」

 事実、自民党の二階俊博幹事長は3月25日に東京都内で講演し、「今は安倍首相を続投させることが大事だ」と述べ、 自民党総裁4選を支持する考えを改めて示した。また、その約2週間前には、世耕弘成参院幹事長がロシア紙のインタビューに対して、安倍首相がトランプ米大統領やロシアのプーチン大統領と良好な関係を築いていると指摘した上で、「世界が(安倍首相が)辞めることを許さない」と4選を後押しする発言をしている。

 政権と距離を置きながら、ポスト安倍を狙う石破茂元幹事長は3月30日の記者会見で「中国をはじめとして、感染が始まった国からの入国はもっと早く止めるべきだった」と政権の対応を批判したが、むしろ逆効果だったとの見方が強い。

「石破さんを支持する地方党員からも『今は一致団結する時期なのに』と批判の声が上がっているようだ。国民全員が1日でも早いコロナ収束を望んでいる今、自民党議員であれば政権批判は『百害あって一利なし』だとわかっている。その自民党の雰囲気が、結果的に安倍首相の求心力を高めている」(自民党関係者)

 安倍首相は東京五輪を2年延期ではなく、1年延期をしたことを「賭けだった」と森喜朗元首相に語ったとされている。言うまでもなく、その「賭け」の行方は、1年後にコロナ禍がどこまで収束しているかにかかっている。もし首相が「賭け」に勝ったならば、来秋には「安倍4選」が決定的になっているだろう。

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最終更新:2020/04/03 12:12
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