マウンティングする上司を生態観察しながら逆にマウンティング『必修!マウンティング会話講座』
#アルコ&ピース
3月26日、NHKで『必修!マウンティング会話講座』が放送された。放送前からSNS上でひそかに話題になっていた番組である。
マウンティングとは何か? 同番組はホームページで以下のように定義している。
「マウンティング。それは、ごく自然な会話のようで、うっすらと自分の優位性を忍ばせる行為。本来は、サルなどが序列確認のために行う自己顕示行為を指しますが、人間社会ではやっかいな『言葉のバトル』となり、その真意を探るには、高度な読解能力が必要です」
人間の多くは優越感を欲している。だから、意識的にも無意識的にも「言葉のバトル」を仕掛け、相手の優位に立とうとするのだ。
今回、番組は広告業界のオフィスにフォーカスした。部署間や先輩後輩間のやりとりを通じ、人間を生態観察する。なぜなら、オフィス内では見えないバトル=マウンティングが日々繰り広げられているからである。
マウンティングされたら褒めればいい
番組のフォーマットは、Eテレの外国語講座と酷似している。最初に寸劇で具体的な事例を提示し、講師役のアルコ&ピース・平子祐希が言葉の真意を解説する。さらに、実際に広告会社に勤務するサバ缶さん(男性/30代)とさゆりさん(女性/20代)が、実体験に基づいたコメントを挟み込むという形だ。
例えば、こんな事例が紹介された。ある上司が部下を呼び止め、説教をし始める。
「あのさあ、早くライン(報告・指示の伝達系統)上げてこいよ。これ、早くフィックスしないと、先に向こうのラインで上がっちゃうと上でコンフリクト(混乱、衝突)すっから! 大大大大大至急。てかさあ、PDCA(計画→実行→評価→改善)理解してる? これさあ、スタートアップ(急速に伸びている新規事業)だったら完全に仕事逃してるよ!? 日経平均とかトピックスだけじゃなくてさあ、FOMC(アメリカの金融政策を左右する委員会)くらい押さえてるよね。ねえ?」
説教からパワハラへ突入してしまった厄介な状況。パッと見はそう思えるが、真意は違うらしい。
「これは、クソバイス型マウンティングです。聞いてもいない無駄にデカくて抽象的なアドバイスを一方的に話すんですねえ。指導されてると思ったら、いつの間にかビジネス知識自慢にすり替わっているというのが常套手段です」(平子)
なぜ、こんなマウンティングをするのか? その理由として、「不安」が大きく作用していると平子は解説した。
「やはり、脂の乗ってきた後輩に対して“部の稼ぎ頭はまだ俺なんだ!”と確認したいんだと思います」(平子)
この説教が、なかなか終わらない……と思いきや、実はとっくに終わっていた。先輩の中では楽しくダベっているフェイズへ移っているらしい。一方、いつまでたっても業務に戻れない後輩は、先輩の机上にある雑誌を手に取った。実は、その雑誌には先輩が受けたインタビュー記事が掲載されているのだ。
「先輩、インタビュー見ましたよ」(後輩)
すると、先輩の態度は一変する。なんのことはない、彼はずっと雑誌の話をしたかっただけだった。
この事例でわかるのは、ひとつの真理だ。マウンティングをする人は、心が満たされていない。つまり、褒められたい。だけど、コミュニケーションの仕方がわからないから、別の話題で相手をつかまえる。そして、マウンティングで自分を満たそうとする。
ならば、対策法はひとつだけである。マウンティングされたら、褒めてあげればいい。そうすれば、事態はややこしくならないはずだ。
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