志村けん逝去……視聴者を楽しませた、”お笑い界のレジェンド”と千鳥・大悟の寵愛関係
#志村けん #千鳥
「ザ・ドリフターズ」のメンバーでタレントの志村けん(本名=志村康徳)が3月29日午後11時10分、新型コロナウイルスによる肺炎のため、東京都内の病院で逝去した。70歳だった。20日に肺炎と診断されて都内の病院に入院、23日に新型ウイルスが陽性と判明していた。
お笑い界のレジェンドの死に、芸能界をはじめ、各界からは悲しみの声が上がっているが、ここ数年、志村が特にかわいがっていたのが、千鳥の大悟だった。バラエティ番組などでたびたび大悟が語る志村とのエピソードは、いつも私たち視聴者をほっこりと楽しませてくれた。そんな2人の寵愛関係を象徴するコラムを、追悼企画として再掲載する(編集部)。
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(初出:2019年8月21日)
千鳥・ノブ「今日俺、志村さん習うん?」
いま「寵愛」と聞いて思い浮かぶのは、どの芸能人か。明石家さんまと加藤綾子。松本人志と指原莉乃。上沼恵美子と梶原雄太(カジサック)。有吉弘行と藤田ニコル、または池田美優(みちょぱ)。周囲がゴシップ的に取り上げるものも含めていろいろな組み合わせがあるだろうけれど、個人的には、志村けんと千鳥・大悟の関係をおいてほかにない。
先週は、そんな志村と千鳥の組み合わせを何度も見た。14日の『志村けんのだいじょうぶだぁ』(フジテレビ系)では、千鳥の2人がそれぞれ志村とコントを演じていた。電車運転士の大悟が酔っぱらいの志村を電車から降ろそうとするコントと、交番に道を尋ねに来たノブに警察官の志村が道案内をするコントだ。
こんなふうに、テレビでの共演も珍しくない志村と千鳥。しかし、本人がいないところでも千鳥は頻繁に志村の名前を出す。平均して1番組に1.5志村は出してる感覚だ。あくまでも感覚で。
たとえば、特番として放送された15日の『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)。大悟が「攻めた夏服」を買いに行く前半の企画も面白かったけれど、後半の企画がまた傑作だった。題して「Lemonを歌いたいんじゃ!!」。米津玄師のヒット曲「Lemon」をカッコよく歌い上げたいというノブがボイストレーニングを重ね、1カ月後の収録で披露するという企画だ。
まず、2人はボイストレーナーのもとを訪れる。しかし、手始めに「Lemon」を歌うノブの歌声に、大悟は終始しかめっ面。実はノブ、カラオケが大の苦手というほど歌がひどいのだ。しかも、博多大吉や光浦靖子といったタイプの、音程が大きく外れたりリズム感が絶望的に欠けていたりといった「音痴」ではなく、単に歌唱力に乏しい「ヘタ」に分類されるであろう歌声。バラエティ的にはすぐに笑いに結びつきにくいやつだ。しばらく聞いていた大悟は、1番が終わったあたりで曲を止め、歌詞を引用しながらツッコんだ。
「ホンマにみんなが『夢ならば』と思ったよ」
ノブの歌唱力の現状が確認できたところで、トレーナーによる指導が始まる。あくびをする感覚で歌ってみる、イケメンになったつもりで歌ってみる、首の力を抜いて歌ってみるなど、さまざまな方法が試された。しかし、ノブの歌はあまりうまくなったようには聞こえない。そこでトレーナーが意外なことを言い始める。
「米津玄師さんって、ちょっと声の芯が志村けんさんみたいなところにあるんですよ」
この発言に、当然、志村と親交の深い大悟が食いつく。ここからは、大悟主導での志村式歌唱法のトレーニングの開始である。見本として、志村のモノマネを交えながら歌う大悟。それを見て、ノブが嘆く。
「今日俺、志村さん習うん?」
歌唱指導は、難関のサビに差し掛かる。トレーナーによると、ここは特に志村ボイスが使えるところ。大悟はノブの横で変なおじさんのダンスを始める。ノブは大悟の指導のもと、サビの「愛」の歌詞で「アイーン」と叫ぶ。最終的には、ハゲヅラをかぶり、例のメイクをマジックペンで描いて変なおじさんになったノブが「Lemon」を歌い上げるのだった。ここだけ見た人はわけがわからないやつだ。
ノブが「Lemon」を上手に歌いたい。今回の企画は、それだけといえばそれだけである。しかし、特にこの『テレビ千鳥』がそうだけれど、100円だけ持ってゲームセンターに行くとか、ノブの車で海を見に行くとか、日サロで肌を焼くとか、料理を作って食べるとか、ドラクエをするとか、「それだけといえばそれだけ」のシンプルな企画を、千鳥はほぼ2人のやりとりだけで随一のバラエティ番組に昇華する。それが千鳥の真骨頂だ。
そして、そんな千鳥のやりとりには、高頻度で志村が顔をのぞかせている。
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