『恋はつづくよどこまでも』で彷彿とさせた過去の名作ドラマーー“ベタ”と“アップデート”の両立を叶えたTBSラブコメの現在地
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ヒットの秘密②佐藤健、 “ドSキャラ”のアップデートに成功
「七瀬のキャラクター、これも少女マンガの王道をいってます。過去作では『スチュワーデス物語』(TBS)の堀ちえみが演じた「ドジでのろまな亀」な主人公が有名ですね。今期は『テセウスの船』(同)が大映ドラマ的だと言われてますが、ドジっ子ヒロインというベタさを押し出しているという意味では『恋つづ』も大映ドラマ的です。もっとさかのぼると『エースをねらえ!』(集英社)みたいなスポ根系少女マンガのパターンで、天堂と七瀬の関係も、コーチと生徒の間にある師弟愛を恋愛感情として描いている側面が大きいと感じます。
そして、ドSのイケメンキャラ天堂浬に至ってはこれはもう『花より男子』の道明寺司ですよ。さらにドSイケメン天堂先生と対になる“優しいイケメン”ライバルとして登場する来生先生(毎熊克哉)、彼も花沢類的なポジジョンでしたよね。天堂先生のドSキャラは若干古く感じなくもなかったですが、道明寺ほどの暴力性はなく、今の時代のものにうまくバージョンアップしていると思いましたね」
さらには、「新居が偶然、好きな人の隣になる」という設定は、映画化もされた少女マンガ『ピース オブ ケイク』(祥伝社)などでも使われた「ベタ」な設定だといい、いかに「お決まり」がふんだんに盛り込まれていたかが、うかがえる。
「最終話、空港で別れるシーンも何度となく見てきましたよね。『男女七人夏物語』(TBS系)とか、最近だと『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)でもありました。他にも気づかない部分で、ラブコメのあるあるネタが盛り込まれているのではないかと思います。ただ、具体的な作品からの引用というよりは、出典がわからないくらいパターン化しているものをいっぱい詰め込んでいる。この詰め込まれた感じは、まさに『幕の内弁当』と表するにふさわしいのかもしれません」
こうだけラブコメあるあるが詰め込まれていながら、それでいて陳腐さを感じさせなかったのは、ドラマ自体のディテールは極めて緻密に作り込まれているからではないかと成馬氏は分析する。
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