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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 村上信五、次世代テレビMCの矜持
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

無観客収録で声を張る関ジャニ・村上信五に見た、次世代テレビMCの矜持

村上信五

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月15~21日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ブラックマヨネーズ・小杉「ヒーハー!……谷底にいますか?」

 新型コロナウイルスをめぐる、社会の動揺が続いている。いつまでこの状況が続くのか、どこまで影響が及ぶのか、先行きの見えない日々が続く。

 夏の東京オリンピック・パラリンピックもどうなるのだろう? 予定通りの開催をアナウンスしていた政府は、延期に言及し始めた。ただ、延期も簡単ではないようで、中止を求める声は国内外でくすぶり続けている。

 他方で、テレビをつけると「東京2020!」といった掛け声とともに、スケジュール通りの開催を前提とした番組の企画やCMが流れていたりもする。20日には聖火が日本にやって来た。26日からは聖火リレーも始まる予定だ。これでもし延期にとどまらず、五輪中止という事態になったら、虚しさが日本を覆うのだろう。

 そういえば、東京オリンピック・パラリンピックの招致活動の際に、「もし招致できたら○○します」みたいなことを芸能人が公約するプロジェクトがあった。そう思い出して検索すると、テリー伊藤が「欧米人に負けないよう、胸毛を植毛します」、経済評論家の森永卓郎が「メイド服のコスプレをして応援します」と宣言していた。

 もし、五輪が中止ということになったとしたら、テリーやモリタクが公約を実現する姿を見ずに済むのがせめてもの救いかもしれない。社会を虚しさが覆ったとしても、個人的にはそんなせめてもの救いを胸に、虚しさに耐えようと思う。

 さて、新型コロナの影響は、テレビ番組にも及んでいる。生放送の歌番組や情報番組では、観客を入れない放送が始まってしばらくたつ。フィギュアスケートの世界選手権が中止になった影響で、19日から22日のゴールデンタイムにフジテレビが急きょ、別番組を放送しなければならない事態にもなっていた。総集編を放送する番組が多い印象もある。

 そして先週から、無観客で収録されたバラエティ番組を少しずつ見かけるようになった。

 たとえば、15日の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)。東野幸治がMCを務め、ブラックマヨネーズ・小杉などの面々がひな壇にそろったこの日の収録。ゲストには読売ジャイアンツの原辰徳監督、丸佳浩選手、岡本和真選手なども招かれていた。しかし、客席には誰もいない。そんな収録の雰囲気は、やはりいつもと少し違っていた。

 甘いもの好きの岡本選手のために、有名店のモンブランが提供されたときのこと。東野に味の感想を求められたブラマヨ・小杉が、いつものように叫ぶ。

「うまい、ヒーハー!」

 しかし、無観客のため、スタジオのリアクションは薄い。「ヒーハー!」という声が虚空に消えていく。小杉は戸惑いの表情を浮かべて言う。

「……谷底にいますか?」

 観客がいない状況、それはもう谷底である。スベり笑いの余地もない。スベることすら許されない。密度の低い空間に、ただ声が吸い込まれていくだけである。

 テレビからは今日も「東京2020!」という掛け声が聞こえてくる。なんだかその声も、谷底に少しずつ吸い込まれているように感じる。完全に谷底に吸い込まれ、テリーやモリタクで虚しさを埋める夏を過ごさないためにも、ひとまず手洗いうがいをしっかりしようと思う。

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