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日刊サイゾー トップ > 社会  > 中国で急成長する「文創」

「清の皇帝が横ピース」するコスメ爆誕! 中国で急成長する伝統×現代文化「文創」とは?

 もし、日本で名古屋城をモチーフとしたコスメティックスが製造されたら、どんな口コミが広がるのか――? 一見、掛け合わせようのない組み合わせだが、そんな考えを実現したのが、中国の首都・北京市にある紫禁城だ。

 紫禁城といえば、ユネスコにも登録されている世界遺産であり、北京市の中心に位置する世界最大の木造建築物だ。この紫禁城を中心として、皇城、内城、外城とあり、それが今の北京市となった。北京市の地図を見てみると、紫禁城が中心にあり、そこから7つの環状線が(首都環線高速含む)張り巡らされている。

 今日では故宮に改名された紫禁城は、明、清両朝の王都として、今年でちょうど600年の歴史を有し、北京そして中国を代表するシンボル的な建築物でもある。その由緒正しい建築物が、今若者を取り込むため、積極的なイノベーションに乗り出しているのだ。

清朝王妃のエレガントなコスメ爆誕

 少し前から中国には「文創」という単語が出現し始めていた。「文創」とは、「文化創意産業」の略語で、いわゆる伝統文化を活かしたアイデア産業という意味だ。黄河文明の発祥地であり、漢民族を除けば55の少数民族がいる中国は名実ともに文化大国であり、その文化を活かした産業――文化創意産業が近年急激に成長している。紫禁城(故宮)モチーフのコスメもそのトレンドに乗った一例だろう。

 2008年より、紫禁城は中国の大手ECサイト「淘宝」(タオバオ)にて「故宮淘宝」というオンラインストアを開設したが、人気に火が付いたのは13年になってからだ。北京のではなく、台北故宮が「朕知道了」(朕は了承した)が印字されているマスキングテープを発売したところ、大ヒット。そこで北京故宮でも、新たに文創分野におけるアイデアと人材をインターネット上で募集し、「故宫娃娃」という皇帝やお姫様、兵士など宮廷内の人物をモチーフにしたキャラクターや、かの清朝第5代皇帝である「雍正帝」(愛新覚羅・胤禛)、第6代皇帝である「乾隆帝」(愛新覚羅・弘暦)をキャラクター化し、モチーフにしたグッズなどの販売を開始。

 台北の先例があるとはいえ、大幅な方向転換を行なった北京故宮に対し、最初は危惧する声もちらほら聞こえたが、これらの予想を反し、グッズはメガヒット。WeiboやWeChatなど、中国のSNSでも発売から連日ひっきりなしに話題となり、売れ切りが続出した。

「故宮淘宝」の宣伝画像(左は雍正帝)
「故宫娃娃」シリーズ

 グッズがメガヒットしたとは言え、歴史的人物の肖像画をリメイクするのはいささか気が引けるが、文化の伝承という意味では大成功を収めたであろう。今までは伝統文化や歴史的なイメージが強かった紫禁城だが、見事に若者のニーズを捉え、イメージ転換に成功。今では多くの若者が訪れ、グッズに目あてだけではなく、建築物としての歴史や伝統文化を学ぶものも多い。

 もちろん、紫禁城もこれらのグッズだけでは留まらず、ついには女性用のコスメにも参入した。

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