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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『ダンジョン』ERONE、挑戦者を完封
『フリースタイルダンジョン』レビュー

『フリースタイルダンジョン』過去最高のERONE降臨! チャレンジャーをフルボッコ

“レジェンド”ISH-ONEに、TKda黒ぶちタジタジ……

 2人目のチャレンジャーは、まさかの人選だった。ワールドワイドで活躍する“無冠のラップゴッド”ISH-ONE(いっし・わん)が登場! 若手にヘコまされるかもしれないのに、こんな有名人がバトルへ出てくるのは本当にすごいことだと思う。

 今までのチャレンジャーとは、風格が明らかに違う。裏ボス的なオーラを漂わせているし、ガリガリに痩せた伊勢谷友介似のルックスは文句なくカッコいい。対するモンスターはTKda黒ぶち(てぃーけーだ・くろぶち)。2人のスタイルが対照的だったのだ。

 バトルが始まってすぐにわかった。ISH-ONEはネタをガッチリ仕込んできている。だから、最低限の対話さえ交わさない。TKは、もどかしさを訴え続けた。

「結局リハーサルと一緒のラップばっかして即興すら感じない」

「先攻も後攻もそんな関係ないだろ どうせネタみたいなライムばっかり回す」

「ここにいるのに透明人間 正真正銘 こちらのほうが人間味」

「まるでライブショーケースやってんな それじゃバトルの意味ねぇじゃんと思うのは俺だけかい だったらあんたのCD流しながら 俺が1人でラップやるほうがEasy」

「こいつと向き合っても もうしょうがねぇ」

 最終的に「向き合ってもしょうがねぇ」とまで言ってしまったTK。向き合おうとするTKにISH-ONEはまったくアンサーを返さないのだ。完全即興で対話を求めるTKにとって、ものすごくやりにくい相手だと思う。

 ISH-ONEのネタ感が如実に表れたのは以下のライムだ。

「てか そう まだお前 サングラス マジで黒すぎ 見えない今日も 俺が 超Music Musicしてるぜ」

 そもそもTKはサングラスを掛けていない。ひょっとして、他のモンスター用に準備していたネタだった? 

 ただ、そういうのを全部ひっくるめてISH-ONEのほうがカッコ良かったのだ。ラップはうまいし、英語の発音がうまいし、ビートに乗せるのがうまい。ISH-ONEのほうがグルーブ感を生み出していた。会場の空気を掌握していたのは間違いなくチャレンジャー。TKがどれだけ韻を踏み、うまいことを言っても、客はISH-ONEの音乗りを期待する耳になっている。TKのラップが耳に入ってこない空間になってしまっていた。象徴的だったのは矢継ぎ早にカマしたTKのターンが終わった直後のISH-ONEの態度である。

「あ まだやってんの?」

 早口でやり込めようとするTKに「は、それで? いろいろ言ってるけど、俺のほうがカッコいいだろ」と跳ね返し続けるISH-ONE。こうなったらビクともしないし、ISH-ONEが魅力的に映ってくる。

 あと、ISH-ONEの飄々とした落ち着きにも惹かれた。TKのバースの最中に踊っちゃったり、背を向けて水をゴクゴク飲んだり。完全に、モンスターとチャレンジャーが入れ替わっていたのだ。

 結果は、1本目と2本目を連取したISH-ONEの勝利! プロップスでチャレンジャーがTKに圧勝したという印象だ。

 バトル前のVTRでISH-ONEはこう言った。

「“俺よりお前がカッコいいはずない、俺のほうがカッコいい”っていうのがニューヨークのバトルの基本なんですよ」

 ISH-ONEは“自分は誰よりもカッコいい”という価値観でフリースタイルダンジョンに挑んでいる。

 次回が楽しみだ。TKを撃破したISH-ONEに立ちふさがる2人目のモンスターは呂布カルマ!(りょふ・かるま) 名古屋の先輩後輩対決である。というか、呂布 vs ISH-ONEのフリースタイルバトルが見られるなんて1ミリも想像していなかった。始まる前から、すでに神回確定ではないだろうか?

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/03/17 16:00
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