公営ギャンブル競艇界に闇が!? 八百長を生み出す「ボートレース」の報酬構造とは?
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競馬、競輪と並ぶ公営ギャンブルの競艇(ボートレース)は、時速80キロ前後で水面を疾走するボートが激しく順位を争う姿から、「水上の格闘技」と例えられる。選手の体感速度は時速120キロにも達し、転覆すれば骨折や当たり前で、衝突すれば生命の保証はない。
実際に今年2月9日、ボートレース尼崎で行われた第9レースに出走した松本勝也選手(48)が1周2マークで転覆したところに後続艇が衝突し、松本選手が搬送先の病院で死亡するという事故も起きている。
このように選手が命懸けでレースに挑む一方で、今年に入って看過できない八百長事件が発覚した。
1月8日、元ボートレーサーの西川昌希容疑者がモーターボート競走法違反の容疑で名古屋地検特捜部に逮捕された。西川容疑者は親戚の会社員である容疑者と共謀し、意図的に順位を落として八百長に加担したとされる。あるボートレース関係者は、「2人には、ほかにも計18レースでの八百長容疑がかけられています」と語る。
「西川容疑者はかなりのギャンブル依存症だったようで、自身の獲得賞金など数億円を競馬や競輪につぎ込んでいたそうです。しかし、疑惑の発端となった昨年7月2日の琵琶湖レースでの転覆がなければ、八百長が公になることはなかったかもしれません」(同)
この関係者は、八百長疑惑の発端となった同レースについて、顔をしかめて話す。
「第7レースに2号艇として出走した西川容疑者は、順位を故意に遅らせて4着以下でゴールする八百長に加担していたようです。ところが、1周1マークで4号艇が転覆したため、西川容疑者は2マーク時点で意図に反して3位に浮上してしまいました。
西川容疑者は順位を落とすために大きくターンマークを外すも次順の3号艇は追いつくことができず、そのまま2周1マークに入りました。そこで西川容疑者は露骨に減速して、最終的に4着でゴールしたのです」(同)
モーターボート競走競技規定第23条では、事故艇側半周での順位変動を禁じている。つまり、西川容疑者は八百長を成功させるために、規則に違反して露骨に減速して順位を落としたということだ。「関係者が見れば一発で八百長だとわかる」(同)動きが発端となり、前述の通り約半年後に、西川容疑者は逮捕された。
「西川の逮捕については、私たち関係者も報道で初めて知りました。レースを運営する日本モーターボート競走会(以下「競走会」)からはなんの通知もなかったため、選手たちにも動揺が走るばかり。西川の逮捕後は、レース前日に行われる選手の私物検査が突然細かくなり、検査に動員される職員の負担が増えたばかりか、命懸けで出走する選手たちから、『俺たちをそんなに信用できないのか』と不満の声も上がっています」(同)
選手たちの不満の声は、プライドの裏返しともいえる。競艇選手を養成する「やまと学校」(福岡県柳川市)の入学試験倍率は、およそ20倍。学生期間中は丸坊主(男性のみ)になり、「小隊」編成された集団生活を送り、外出日は月に1日しかない。学生は厳しい訓練と軍隊並みの規律で、ボート選手としての技術と精神を鍛え上げられる。
「日本一過酷な学校」とも呼ばれる同学校での1年間を耐え抜いて国家資格試験に合格し、晴れて選手としてデビューできるのは入学者の半数でしかない。さらに40代まで選手を続けられるのは、その半数といわれる。選び抜かれたと自負する誇り高い選手にとって、自らの存在を否定するにも等しい八百長は、絶対に許すことのできない行為のはずだ。
一方で、生き残りが厳しい社会であるからこそ、「八百長とまではいかないが、グレーゾーンの行為はある」と別のボートレース関係者は指摘する。
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