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『ねほりんぱほりん』レビュー

『ねほりんぱほりん』元薬物中毒者がモルヒネ投与で対峙した“思い出す恐怖”、パパ活女子がママ活女子に

元薬物中毒者の“その後”を番組は3年以上にわたり「定期検診」する

 3人目のゲストは、元薬物中毒者のエリさん。彼女のことはずっと気になっていた。「定期検診」と称し、エリさんはこの番組に定期的にゲスト出演している。「(薬物を)吸ったらその瞬間が自分の今までの人生で一番いい場面になっちゃうんです」という彼女の言葉は、薬物の恐ろしさをそのまま伝えてくれた。

 半年前の電話出演で、ステージ4の咽頭がんが発覚したと彼女は告白した。

「痛み止めの薬がモルヒネなんですよ。私、モルヒネの成分が入った不正麻薬もやってたんで、葛藤しました。(モルヒネを)体に入れたら昔の自分が戻ってくるんじゃないかと思って。ゼロになっちゃうなと思って、その自分に耐えられなくて……」(エリさん)

 今回、エリさんはスタジオ出演した。無事に退院し、現在は通院治療を続けている彼女。こんなふうに、外出できるほど回復したのだ。

「前回の(MCからの)電話で“今度、スタジオで会おうよ!”って言ってもらったので、すごいうれしかったんですよ。なので、どうしてもお2人に会いたくて来ちゃいました」(エリさん)

 抗がん剤で髪の毛が抜けた彼女は今、3種類のウィッグを活用している。「そのときの服装で“今日はショートにしよう”“ロングにしよう”って楽しんでます」と、前向きな現状を報告してくれた。ブタのぬいぐるみ越しに察するしかないが、快方に向かっていると感じられて一安心だ。

 退院したことで、エリさんは完全にモルヒネと決別できた。

「モルヒネを点滴で打ってたんですけど、もう、“グワン!”って来るんですよ。それが(昔薬物をやっていた)感覚に似てるんです。体に入れるだけでソワソワ、ゾクゾクしちゃって。入れて“来た来た来た!”と思って、でも“ダメダメダメ!”って。“来た来た来た!”“ダメダメダメ!”の繰り返しです。薬物のことを思い出さないために葛藤してました」(エリさん)

 入院してモルヒネを使われると中毒がぶり返すなんて、想像したこともなかった。薬物経験者は薬への感受性が強くなってしまう。クスリの恐ろしさを改めて思い知らされる。エリさんの入院生活は壮絶だったのだ。

 そんな彼女には、プロポーズをしてくれた9歳年下の彼氏がいる。シングルマザーのエリさんを、その彼氏は献身的に支えた。入院中は彼が子どもの面倒を見て、さらに子どもを連れて毎週お見舞いにも来てくれた。エリさんはいい男と出会っていたのだ。婚約者に捨てられたテツさん、彼氏に試されていたマナミさん、そして彼氏が親身に助けてくれたエリさん。今回は幅広いな……。

 3年以上にわたりエリさんのことを見てきたが、これからもどんどん幸せになってほしい。そして、定期検診と称して今後も番組に登場してほしい。単発で終わらないところも、この番組の良さだと思う。人間に焦点を当てるなら、“その後”の変化を追うのはマストだ。できることなら、“ナンパ教室に通う男”タカノリさんのその後もいつか見てみたい。

 ちなみに、今夜放送の番組内容は「震災で家族が行方不明の人」。日付からして予想はしていたが、予想以上に重いテーマを番組は持ってきた。ブタのぬいぐるみを前面にして、顔を隠すからこそ当事者が言えることもあると思う。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/03/11 18:02
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