谷崎潤一郎『春琴抄』はこんな話だったのか! “超ドS”と“超ドM”のせめぎ合うエロス『ホーキーベカコン』
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皆さんは文学を嗜むタイプでしょうか? 僕はめちゃくちゃ疎いです。特に昭和の文豪の類いは苦手で、ほとんど読んだことがありません。ちゃんと覚えているのは小学校で習った『走れメロス』ぐらいでしょうか……。夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、谷崎潤一郎など、読めば間違いなく名作なんでしょうけど、面倒くささのほうがどうしても先に立つんですよね。でも、それがマンガになってるのであれば、話は別!
今回ご紹介するのは、谷崎潤一郎の『春琴抄』をコミカライズした『ホーキーベカコン』という作品。あまりに奇異なタイトル、妖しくも美しい美少女が描かれた単行本の表紙、「彼を待っていたのは甘美な地獄だった――」というエロスを感じざるを得ない煽り文句。気になる要素が満載すぎて、どうしても手に取らないわけにはいかなかったのです。
舞台は江戸末期。天才的な箏(こと)の才能を持つ美貌の少女・鵙屋(もずや)琴(春琴)とその付き人、温井 佐助の物語。大阪船場の名家・鵙屋の二女である春琴は、その美貌と舞の才能から、時の帝の寵愛を受けるほどでしたが、9歳で失明という不幸に遭い、その後は性格がゆがみ、あまりのわがまま女王様っぷりから周囲の者が誰もついていけない状態に陥ります。
春琴に呼ばれただけで、鵙屋の侍女たちは顔面蒼白、恐怖のあまりガクガクと震えています。春琴の前で粗相をしようものなら――その恐ろしさからある者は失禁したり、首を吊るほどまで――精神的に追い込まれるのです。北の将軍様をも凌駕する恐ろしさです。
気難しすぎてもはや誰も近寄ろうとしない春琴に対し、ただ一人だけ、献身的に尽くす付き人がいました。それが、鵙屋の丁稚(でっち)として働く佐助です。
佐助は春琴よりも4歳年上ですが、春琴の美貌や箏の才能に心酔しきっており、奴隷のような仕打ちを受けながらも耐え忍び、付き人稼業を全うします。それが春琴への愛ゆえなのか、ガチのドMだからなのか判断に困るレベルなのですが、たぶん両方です。
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