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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > YENTOWNの軌跡(後編)
ラッパー「MONYPETZJNKMN」インタビュー

「共感を誘い込む“ストーナー・ラップ”を作りたい」MONY PETZ JNKMNが激白するYENTOWNの軌跡(後編)

スチャダラの「フィクション大魔境」がスゴい理由

「YENJAMIN」のステージより

――最近はどんなヒップホップを聴いていますか?

P 『JACKBOYS』(トラヴィス・スコットが率いるレーベル〈Cadtus Jack〉のコンピレーション)はヤバかったね。

M 俺はヤング・サグが大好きですね。ああいうヤツがリル・ベイビーとか新しい若いラッパーを紹介していくじゃないですか。そこからたどるよね。あと、YBNコーデーのアルバム『THE LOST BOY』がメチャクチャ良かった。

 

JNKMN セイント・ジョンもヤバかったね。

――みなさん、やっぱりいろいろ聴いていますね。ところで、かつてあるインタビューでMonyさんは、年齢的にリアルタイムでは聴いていないスチャダラパーの「フィクション大魔境」(91年)が好きだと語っていましたよね。さらに、JNKMNさんはスチャダラパーみたいにもてはやされたいとも語っていました。

J それはガチっすよ。スチャダラの2nd『タワーリングナンセンス』(91年)は今でもよく聴きますし、めっちゃカッコいいと思う。まず、BOSEさんとANIさんのラップのトピックスが面白いし、SHINCOさんのビートも間違いない。

スチャダラパー『タワーリングナンセンス』

M 「フィクション大魔境」を聴いたときに、自分が言いたいことを全部ラップで言えているんだろうなって感じて。それがスゴいと思った。BOSEさんの頭の中身を見てみたいですよ。

――あの曲でBOSEさんは、日本社会において暗黙の了解で成り立っている慣習や常識の理不尽さ、または同調圧力について、あえて踏み込んでいきますよね。

J 最終的に“フィクション大魔境”ってことで収めているけれど、現実社会のいわゆる時事ネタに触れているわけですよね。ああいう時事ネタを盛り込むのって難しいんですよ。ラッパーによっては上から目線で説教臭くなって、聴く耳を持たれなかったりするじゃないですか。要は時事ネタの曲って、聴くほうからすると「これはナシだな」ってなりやすい。でも、あの曲はそうならないように社会風刺の方法を工夫している。BOSEさんやANIさんは、そのやり方がスゴく上手い。そうやってナシをアリにするのがヒップホップだと思うし、ラッパーとしてそうありたいなとは思いますね。

MPJのメインのビートメイカーであるU-LEE

――そういう意味ではMPJも、日本社会では一般常識的にはナシであろう“ストーナー・ラップ”をアリにしてきたグループなのではないでしょうか。

P ただ、前までは「俺らは気持ち良くなってます!」ってことばかりラップしていたけど、これからはよりパーソナルな内容も歌っていきたい。俺は、去年出したソロ・アルバムの『COSMOS』でそのあたりの感覚はつかみましたね。

M 聴く人のことを考えるようになりましたね。それもあって、実は俺、ソロ・アルバムをどんな内容にしようか、少し悩んでいたんですよ。悲しい歌でも歌おうかなと考えたんですけど、やっぱりやめました。子どもの頃は悲しいこともたくさんあったけど、俺がそんなの歌にしても意味ねぇなって思って。そういうラップは今たくさんあるし、俺は幸せな気持ちをそのまま伝えようって。

 

J PETZが言ったみたいに、これまでは「今、俺らは雲の上にいますよ」ってことをいろんな言葉で歌ってきたと思うんです。これからは、生きていたら直面するいろんなトラブルや出来事についての俺らの考え方とかも混ぜながら、共感を求めるんじゃなくて、共感を誘い込むラップを作っていきたい。結局、“ストーナー・ラップ”に変わりはないんですけどね(笑)。

最終更新:2020/03/07 12:12
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