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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 福原遥、2.5次元ドラマの先駆けに?
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

まいんちゃん以来のハマり役! 福原遥『ゆるキャン△』で2.5次元ドラマの先駆けに?

福原遥『プリキュア』をはじめ、声優としても活躍

 現在21歳の福原は、小学1年生の時から活動している女優で、大原、箭内と共に学園ドラマ『3年A組-今から皆さんは人質です―』(日本テレビ系)にも出演していた。

 彼女が最初に注目されたのは2009~13年にNHKのEテレで放送された『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』という料理アニメで、福原は主人公の“まいんちゃん”こと柊まいんを演じていた。

 同作は料理を題材にしたアニメで、アニメーションパートとスタジオで料理を作る実写パートがあるという特殊な構成だったのだが、アニメと実写、両方を演じるという経験は福原にとって最大の武器となっている。

 とはいえ、この特異な武器が開花するには、しばらく時間が必要だった。

 子役でブレイクした女優は、成長するに従い、世間のニーズとズレてしまうことが多く、まいんちゃんの印象が強い福原も「子役の呪い」から抜け出すのが難しいのではないかと懸念された。しかし、10代後半に入ると端正な美人へと成長し、その意味ではうまく脱皮できたのだが、一時期の広瀬アリスのように、きれいすぎて女優としては使いどころが難しかった。

 声優の卵を演じた『声ガール!』(ABCテレビ)や配信ドラマ『グッドモーニング・コール』(FOD)といった主演作はあったものの、学園ドラマの脇役を演じることが多く、彼女の才能を作り手が持て余しているように見えた。

 しかし、『ゆるキャン△』の志摩リンは福原の美人ゆえのとっつきにくさが、ソロキャンに励むリンの不器用さとマッチしており、まいんちゃん以来のハマり役となっている。

『プリキュア』シリーズの14作目にあたる『キラキラ☆プリキュアアラモード』(テレビ朝日系)への出演を筆頭に、声優としても知られる福原は、実写とアニメ、両方の良さを肌感覚で理解している。

 つまり、アニメのキャラクター(2次元)を実写の人物(3次元)に落とし込む2.5次元的なアプローチが、とてもうまいのだ。

 これは無論、子役時代に、アニメと実写、両方のまいんちゃんを演じていたからである。

今期は『ゆるキャン△』のほかにも『女子高生の無駄づかい』(同)という若手女優が多数出演する深夜ドラマが放送されているが、美少女アニメの雰囲気を再現する2.5次元ドラマは今後も増えると思う。 

 その際に、福原の演技が今以上に求められることは間違いないだろう。実写とアニメ、双方の橋渡しができる稀有な女優である。

成馬零一(ライター/ドラマ評論家)

1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。ライター、ドラマ評論家。主な著作に『キャラクタードラマの誕生 テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)などがある。

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Twitter:@nariyamada

なりまれいいち

最終更新:2020/03/12 14:00
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