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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『ダンジョン』小泉構文をネタに
『フリースタイルダンジョン』レビュー

『フリースタイルダンジョン』小泉進次郎の「小泉構文」をサンプリングする北の実力派ラッパーMC松島

破壊力のあるディスり合いをするERONEとMC松島

 2番目に松島を迎え撃つモンスターはERONE(えろーん)。バトル前の煽りVTRで、ERONEは松島をこう評している。

「姑息というか、揚げ足を取るというか。まずお前のスタンスを話してから話せばいいのに、周りの空気を見てから自分のスタンスをそっと寄わせるだけみたいな。スキルで勝負しろよとは思いますけどね」

 バトル開始前のこのコメントが、一番破壊力があったように思う。無論、曲者・松島も負けていない。

「モンスターの奴 俺のこと嫌いすぎだぜ
審査員も毎月毎月会ってるメンバーで
チャレンジャー超やりにくい
何これ? 俺イジメられてんの?
公開処刑2020って これのことでしたか」

 ERONE、FORK(ふぉーく)、呂布カルマ(りょうふ・かるま)、輪入道(わにゅうどう)の4人が昨年末に制作した楽曲「公開処刑2020」のタイトルを引用し、四面楚歌なチャレンジャーの状況を説明する松島。ここからバトルは以下のように展開していった。

「松島 格下 下手な作詞家
こいつ送り返す 両勘さんみたいに繋がってるぜ 葛飾」(ERONE)

「松島と格下で踏まれたこと
102回あるぜ マジで
ていうか 葛飾区亀有公園前派出所みたく
俺は長く続く皆が好きなラップする」(松島)

「奪われた102回 お前の優勝は逆にない」(ERONE)

「松島」「格下」「作詞家」と押韻を繰り出したERONEに、松島は「102回」で踏み返していく。同時に「102回」と掛け、「長く連載したこち亀のごとく、俺は愛される長くラップする」と応酬したのだ。対するERONEは「逆にない」の韻で落としに行く。両者による押韻合戦は見事だ。

 結果、このバトルは、ERONEのクリティカル勝ちに終わった。そこまで大差がつく内容とも思えなかったが、結果は結果。松島も「韻踏合組合の人なのに韻がすげぇ古いみたい」とERONEのかなり痛いところを突いていたが、勝敗に直結はしなかった。ただ、判定発表直後、納得がいかなかったのか、首をかしげるERONEの姿が印象的だった。

 負けはしたが、不思議な人間的魅力を見せたMC松島。松島は、やっぱり最後まで松島だった。次は、彼とJUMBOによる不思議対決も見てみたい。モンスタールームで松島を見ながら、終始「なんなんや、こいつは」という顔をするJUMBOの表情が印象的だった。

 あと、やはりアカペラのバトルである。新鮮な違和感があって面白い。こちらも、またいつか見てみたい。FORKがカッコ良くこなしてくれそうな期待感がある。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/03/03 16:00
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