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【シリーズ】「読解力低下」騒動のウソとホント(2)

「読解力低下」騒動のウソとホント(2)大学入試改革とマスコミ批判の歪んだ構図

記述式問題が“書けない”日本の子ども

 例えばPISA2000の問題には、「落書き」について賛否両論の意見文を読ませ、その内容について論述形式で答えさせるものがあった。参加国全体の平均正答率は53%、日本は42%。回答欄に何も書けない「無答率」は日本29%、アメリカ4%、イギリス7%、フランス9%。

 この無答率の高さは03年調査でも引き続き確認され、日本の子どもは選択肢の中から選んで答える問題はよくできても、そもそも記述式に“答えない”率が高く、自分の意見を書くことが苦手なのだということが鮮明になった。

 PISAだけでなく、“ゆとり教育”導入後に初めて行われた小5~中3を対象とする全国学力テスト(05年4月に結果公表)でも、やはり自分の考えを論述させる問題に対し、自分の体験だけを記述するといったひとりよがりな回答や無解答が目立った。

 ほかにも全国学力テストでは全体に学力低下が指摘され、批判が巻き起こった。

 文科省はこうした“ゆとり教育”批判に応えるべく、08年の学習指導要領で、授業時間数を増やし、同時に「習得型」「活用型」「探求型」の3つの教育課程のバランスを考慮し、創造性重視の方向性を取り入れた。

 これは「詰め込みに戻そう」ということではない。PISAが求める(つまり、OECDがこれからの経済成長に必要な能力だと考える)アウトプット重視に舵を切りつつ、教科書のボリュームを増やしたのだ。
 08年改訂では「言語活動の充実」を重視し、自分で問題を設定して教科横断的に調べて取り組む「探求型学習」を推進。子どもの主体的な学習を促している。
 PISAでトップクラスに位置したフィンランドの学校で探求型学習が多用されていることも、こうした変革の背景のひとつにあったという。

 そうやって自分の関心に沿って調べてまとめる訓練を積めば、資料や経験をもとに自分の考えを説得的に論述する能力も身につくだろう、というわけだ。

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