『進撃の巨人』パクリマンガが「ジャンプ」でスタート!? 弁護士に聞く法的な著作権侵害のラインとは?
#進撃の巨人 #パクリ #週刊少年ジャンプ
『魔女の守人』に同一に近いレベルで似たコマや絵はあるか?
同一に近いレベルで「似たような絵」や「似たようなコマ」がある場合は、コマの一つひとつにも著作権が発生するため著作権侵害を認められるが、「アイデア」や「設定」自体に著作権はほぼ発生しないということだ。
連載中の『魔女の守人』を読む限り、同一に近いレベルで似たコマや絵は見当たらない。つまり、”法的には”パクリであるとはいえないだろう。しかし、読者が本作を読んで『進撃の巨人』との類似性を指摘したのも、また事実。こうしたパクリ疑惑作品が生まれてしまうのはナゼなのか? マンガ編集者でもあるコラムニスト・更科修一郎氏は次のように語る。
「これは『週刊少年ジャンプ』に限らず、新人の連載デビューではよくあることで、技術的にまだ未熟な作家に“流行の線を狙わせる”と、こういうことが起きます。とはいえ、過去のジャンプの名作もいろんな作品からの引用で成立していますし、うまい編集者は、簡単にはわからないように先人の作品を参照させ、独自の個性を育てます。
いまはウェブがあるので、すぐ比較されますが、たとえば『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦も、それ以前の初期作品を改めて読むと『このキャラデザは白土三平と永井豪だな』『この構図は寺沢武一と風忍だな』とわかります。当時は10代での雑誌デビューも多く『未熟でも実戦で育てる』方針が強かった時代でしたから。でも、掲載当時に読んでいた80年代の子供たちは気づかなかったわけです。
パクリ云々と喧伝されるようになったのは90年代以降で、『BLEACH』の久保帯人もデビュー連載の『ゾンビパウダー』は『トライガン』(内藤泰弘)のパクリと散々な言われようでしたが、あっという間にメキメキうまくなり、独自の個性を確立しました」
つまり、マンガ文化の中には脈々とパクリ……もとい、模倣や引用を繰り返しつつ進化してきたという歴史があったのだ。さらに更科氏はこう続ける。
「特に新人のデビュー連載は、編集サイドは完成度より伸びしろを重視しているので、失敗して打ち切られても次の連載からが本番というか、長い目で見たほうがいい、と思いますよ。3作目以降でもまだ引用頼みだったら、さすがにダメですけど」
『魔女の守人』の作者はまだ20代半ばとか。パクリ批判を乗り越えて、大作を生む作家へ成長していくことを祈りたい。
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