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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > SEEDAが語る映画『花と雨』
ラップと映画の禁忌

スラング、コカイン、大麻栽培まで…ラッパーの“禁忌”な生き様、SEEDAが語る映画『花と雨』

ヒップホップという日本の青春映画

一見、恋人同士が深夜のファミレスで他愛ない会話をしているかのように見えるが、実際は主役の吉田(笠松将)と実姉(大西礼芳)の飾らぬ姉弟愛を描写したワンシーン。

――『花と雨』には“青春映画”というキーワードがあります。これまで青春時代における日本B-BOYの青春映画というのは、学園ものやスポーツを題材にしたもの、または憧れの対象となりうる『ジュース』や『ドゥ・ザ・ライト・シング』『8マイル』といった海外の映画でした。しかし、日本でもヒップホップ文化が成熟し、『花と雨』や『WALKING MAN』のような映画が青春映画になりうる未来がチラッと見えました。

SEEDA 確かに今は身近に日本語ラップが存在する時代だし、『花と雨』がそうした存在になってくれたらありがたいですよね。昔のヒップホップ映画は犯罪に手を染めることが青春だったかもしれないけど、時代も移り変わって価値観にも変化が起きたと思う。僕の青春はヒップホップとドラッグディールでしたけど(笑)、決して『花と雨』では「それをやれ」と押しつけているわけではないから。そう思ってもらえれたら、それで十分ですよ。

――SEEDAは06年に『花と雨』をリリースした際のインタビューで、「かっこつけることだけがヒップホップじゃない」「イリーガルなことで金を稼ぐことや、チェーンを付けていたらヒップホップという風潮を打破したい」と話していました。あれから14年の歳月を経て映像化されても変わらぬ想いが映画『花と雨』に見て取れました。改めてSEEDAにとってアルバム『花と雨』という作品は、どんな作品であったと思いますか?

SEEDA 当事者なんで、当時も今も特に変わらないです。リスナーが映画を観て、「このシーンはあのリリックの部分じゃないか?」とか「暴力を振るうあのシーンはこの曲でラップされていることか?」とか、そんなふうに思ってもらえたら。ただ、映画が完成してみて、やっぱりもっとこだわりたかったという欲は生まれました。それこそ然るべきタイミングが来たらSCARSの映画も観たいと思いましたしね。願わくは『花と雨』が日本のヒップホップ映画のクリティカルな作品になってほしいと思ってます。(月刊サイゾー20年2月号『新しいニッポンのタブー2020』 より)

C)2019「花と雨」製作委員会

映画『花と雨』

ロンドンで幼少期を過ごした吉田は、閉塞的な日本社会や学校の空気になじめぬまま有名私立高校に通っていた。ある日、学校の外でヒップホップと出会い、自分を表現できる場所と仲間を見つけ、ヒップホップにのめり込んでいく――。

2020年1月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー 配給:ファントム・フィルム

 

 

 

 

SEEDA(しーだ)

写真/cherry chill wi

1980年、東京都生まれ。小学校1年から中学1年までロンドンで育ち、1999年にラッパーとしてデビュー。06年にリリースした『花と雨』で名実共に日本を代表するラッパーとして確固たる地位を築く。現在はアーティスト活動のかたわら、ヒップホップにかかわる関係者を招き、ショート・インタビュー動画をアップするYouTubeチャンネル「ニートTOKYO」を主宰している。

 

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にっかんさいぞー

最終更新:2020/02/24 12:33
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