メディアに搾取され続けた女性たちの実録ドラマ『スキャンダル』『ジュディ 虹の彼方に』
#映画 #パンドラ映画館
ドラッグ&アルコール依存で、ボロボロだった晩年
過酷な思春期を送ったジュディは、ドラッグだけでなくアルコールにも依存するようになる。結婚と離婚、自殺騒ぎと精神病院への入退院を繰り返した。再起を賭けた『スタア誕生』(54)で女優人生のすべてを注いだ入魂の演技を披露するも、アカデミー賞主演女優賞の受賞を逃してしまう。繊細な心の持ち主だったジュディは、そのショックでますます自暴自棄な生活を送るようになってしまった。
映画『ジュディ 虹の彼方に』は、どん底状態にあったジュディの晩年を描いたものだ。孤独な少女時代を送ったジュディは、愛する子どもたちと再び一緒に暮らせることを夢見て、ロンドンのナイトクラブのステージに立つことになる。醜聞が広まっているハリウッドに比べ、ジュディの歌唱力を評価するロンドンの観客は温かかった。客席からの拍手と声援に励まされ、ジュディはかつての輝きを取り戻していく。歌っているときのジュディは、誰かと繋がっていることが感じられ、孤独感から解放された。そんなジュディの心情を、これまで浮き沈みの激しい女優人生を歩んできたレネー・ゼルウィガーが全身全霊で演じてみせている。今回のレネーのオスカー受賞は、2人分の重みがある。
映画界のセクハラ&パワハラに苦しめられたジュディだが、性的マイノリティーの人たちから愛されたことが知られている。『ジュディ 虹の彼方に』でも、ロンドンで暮らすゲイカップルにステージで疲れ切ったジュディが励まされるシーンが描かれている。このエピソードは実話だそうだ。同性愛解放運動の象徴として掲げられる「レインボーフラッグ」は、ジュディが歌った「オーバー・ザ・レインボー」がその由来となっている。映画界の権力者たちによって搾取され続けたジュディは、1969年に47歳の若さでその生涯を閉じることになった。でも、彼女が歌った「オーバー・ザ・レインボー」は今も多くの人たちに歌い継がれ、世界中で愛され続けている。歌によって、孤独な心が結ばれていく。ジュディの夢はようやく叶った。
『スキャンダル』
監督/ジェイ・ローチ 脚本/チャールズ・ランドルフ 出演/シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ジョン・リスゴー、ケイト・マッキノン、コニー・ブリットン、マルコム・マクダウェル、アリソン・ジャネイ
配給/ギャガ 2月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(c)Lions Gate Entertainment Inc.
https://gaga.ne.jp/scandal
『ジュディ 虹の彼方に』
監督/ルパート・グールド 脚本/トム・エッジ
出演/レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボン、ダーシー・ショー、ロイス・ビアソン
配給/ギャガ 3月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(c)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019
https://gaga.ne.jp/judy
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