エッジ・オブ・小市民【9】
正義を振りかざして集団バッシング…日本社会を縛る“世間様”の圧力
2020/02/18 12:12
#小市民 #エッジ・オブ・小市民 #集団バッシング
スキャンダルや不祥事を喜んで“消費”
こうした“世間様”の集団バッシングは、その対象をコロコロと変えつつ、延々と繰り返されている。そんな昨今、ネタにされやすいのは芸能人の不倫だ。
今なお集中砲火を浴びている俳優の東出昌大氏は、芸能マスコミに別居先のマンションを特定されて住めなくなり、新たな居住先が見つからないようにホテル泊やときには車中泊も余儀なくされていて、さながら指名手配犯のような生活を送っているそうだ。
確かに不倫はその字面の通り、倫理にもとる行為だろう。妻が子育てに追われながら第三子を妊娠中という最悪のタイミングで不倫を始めて、それから3年にわたって関係を続けていたという東出氏はいうまでもなく最低だ。しかし、そんな最低な東出氏であっても、それを責める権利があるのは、やっぱり“裏切り”の当事者である家族、あるいは今回の不倫騒動で実害を被ってしまった関係者だけだろう。他人の家族問題についてつべこべ言う筋合いは誰にもないのだ。ところが、それじゃ世間様の気はすまない。水に落ちた犬は徹底的に叩きたいのである。できれば、二度と浮上して来ないほどに。反撃して来ない相手に偉そうに説教を垂れるのは、気持ちがいいからだ。そうした“攻撃”が威力を発揮すれば、歪んだ正義感はさらに高揚するだろう。マスコミもそんな世間様の気持ちがわかっているから、相手の人生が壊れても知ったこっちゃないとばかりに執拗に犬を追い回す。それで叩くネタが見つかれば、「こいつはまたこんなに悪いことを!」とさらに叩く。社会が不寛容になったとよく言われるが、不寛容というより、むしろ世間様は喜んで他人の不祥事、スキャンダルを“消費”している。なんともグロテスクな光景である。
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