正義を振りかざして集団バッシング…日本社会を縛る“世間様”の圧力
#小市民 #エッジ・オブ・小市民 #集団バッシング
ふとしたときに「世間様っていうのはおっかねえなぁ」と、うんざりさせられることがある。もちろん、“世間”といっても特定の集団や団体があるわけではないし、ある意味で“空気”のような漠然としたものではあるのだが、その圧力はなかなかに存在感が強い。そして、時にはそうした圧力が目に見えることもある。
正義を振りかざすことで溜飲を下げる世間様
最近だと、2月3日付の「スポニチ」記事『ピエール瀧、2月下旬に仕事復帰 来年公開映画「ゾッキ」出演』がYahoo!ニュースに転載されたときのコメント欄が強烈に世間様というものを見せつけてくれた。同記事は、昨年6月に麻薬取締法違反罪で有罪判決を受けて執行猶予中のピエール瀧氏が、2月下旬に映画の撮影に参加して芸能界に復帰することを報じているのだが、まずトップのコメントがこれである(原稿執筆時)。
「いくらなんでも甘過ぎやしないですか? 若い頃から30年以上薬物やってた事まで分かってて、それがたった11ヶ月で芸能界復帰はいくらなんでも早過ぎでしょ(以下略)」
あなたはいったい何様なのかという話だけれど、これぞまさに世間様である。ちなみに、このコメントには5万近くの「いいね」がついている。いはやは。
そのほかのコメントもざっと見てると、
「復帰はちょっと早いと思う。せめて執行猶予期間内は表に出ない方がよいのでは」
「やっぱり芸能界は甘い」
「さすがに少し早いのでは」
「これでは見せしめにならない」
こんな具合に上から目線の批判的な意見のオンパレードである。それにしても“見せしめ”って。
この事件で実際に被害や迷惑を被った人は確かに多いだろう。放送自粛や出演キャンセル、再撮影やCMの打ち切りなど、その賠償額はかなり高額になるとも報じられていた。しかし、こうした実害を受けた人にとっては、賠償してもらうためにもピエール瀧氏が早々と仕事に復帰することは願ったり叶ったりのはずだ。Yahoo! ニュースについている「復帰が早い」「芸能界は甘い」などの匿名コメント者は、自分がピエール瀧氏の事件でなにか被害を受けたわけでもなく、彼が復帰したところでなにか損をするわけでもないだろう。単に気に食わないから文句を言っているだけに過ぎない。道徳的、倫理的に「自分は正しい」と確信し、そんな自分と異なる“正しくない人”を正義面して大上段にかまえた態度で批判し、集団で叩くことで溜飲を下げているわけだ。
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