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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 民放を凌駕する知育と混沌のEテレ
テレビウォッチャー飲用てれびの「テレビ日記」

ロバート秋山、椿鬼奴、レーザーラモンRG……民放のナナメ上をゆく「知育と混沌のEテレ」

Eテレ『おはなしのくに』より

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月9~15日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ロバート・秋山「昔々あるところに、新しくて美しい服が大好きな王さまがおりました」

 油断しながらテレビを見ていると、いつの間にか画面上で変なことが起こっていたりする。

 たとえば、田中みな実と鈴木愛理とMattがソファーに座ってメイクグッズについての話をしていたと思ったら、いつの間にかMattが「人生ってゲームなんですよ」と人生観を開陳していたりする。「私たちは神様が操っている指人形」とか語っていたりする(11日『グータンヌーボ2』関西テレビ)。あの人形のようなビジュアルが、独自の人生観により支えられているのだと知りました。

 そんなふうに、油断させる空気感の中に、油断ならぬ瞬間がときおり挿入されるテレビだけれど、中でもNHKのEテレは油断がならない。ときに不思議なキャスティングで奇妙な番組をやっていることがある。

 たとえば『おはなしのくに』。対象年齢は幼稚園・保育園児、および小学校1~3年生で、童話や昔話を朗読する10分間の番組だ。子どものころは対象年齢を過ぎても夏休みにボーッと見ていた記憶がある。

 物語の読み手は、バラエティ番組やドラマでおなじみの面々だ。番組サイトで2019年度の出演者を見ると、渡辺直美の「きんたろう」、皆川猿時の「さるかにがっせん」、ダイヤモンド☆ユカイの「きたかぜとたいよう」、友近の「三まいのおふだ」、ドランクドラゴン・塚地の「ぶんぶくちゃがま」、佐藤二朗の「かちかち山」、吉岡里帆の「ももたろう」、松岡茉優の「いっすんぼうし」、安達祐実の「雪女」、壇蜜の「つるのおんがえし」など、魅力的なラインナップがそろう。

 そんな番組に10日、芸人のロバート・秋山が出演し、「はだかの王さま」を朗読していた。

「昔々あるところに、新しくて美しい服が大好きな王さまがおりました」

 そんな秋山のナレーションから始まり、王さま、機織り職人、大臣、役人、その他の家来、パレードを見る群衆、そして「王さまは裸だよ」と言う子どもなど、登場人物すべてを彼ひとりで、声色を変えたり軽めの顔芸を交えながら演じ分けていた。

 秋山はクリエイターズ・ファイルと題して、さまざまな最新のクリエイターに扮して仕事論や人生論を語る企画をやっている。代表作は、トータル・ファッション・アドバイザーのYOKO FUCHIGAMIだ。

 今回、登場人物を演じ分ける姿を見て、なんだかあの憑依芸を思い出したりもした。あるいは、「声や顔を大げさに変えながら子どもに読み聞かせをする人」になりきっていたのかもしれない。

 ラストシーン。愚か者には見えない服を着て、王さまがパレードを続ける。画面には、黒光りする上半身を晒した秋山が映っている。その手には、愚か者だけに見える梅宮辰夫のお面が握られていたはずだ。

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