ソフトバンク社員のスパイ事件は氷山の一角!? お台場の展示会でサラリーマンに近づいて……
#ロシア #スパイ
日本で繰り広げられるスパイvs.公安「知恵の闘い」
そもそも、ロシアのスパイはどのようにして一企業のサラリーマンに接近し、エージェントにしていくのだろうか。
「もっとも多い事例は、お台場や幕張で毎日のように行われている展示会です。ラインXのスパイは、公安警察の目をすり抜けるために青ナンバー(ナンバーが青い外交官車両)ではなく電車で訪れ、事前に目星を付けていたブースに近づき商品説明を受ける振りをして、自然にターゲットと“接触”します。
そして、名刺交換の際に、『名刺がなくなったので、後から連絡します』と言ってその場では身分を明かさず、後日、電話連絡して喫茶店やレストランに呼び出します。美味しいビジネスに繋がるかのような話をして、次の接触につなげ、徐々に個人的な話に入っていくというのが典型的な手口です」(A氏)
スパイは、MICEと呼ばれる相手の弱点——金銭(money)、思想信条(ideology)、虚栄心(compromise)、自己顕示欲(ego)を巧みに突くことでターゲットを操縦するという。
「まずは、社員であれば誰でも手に入る簡単な情報や資料を提供させながら、ターゲットを誉めちぎります。弱点を巧みに突かれたターゲットは、この段階でスパイを自分の唯一の理解者だと勘違いしてしまうのです。
そうやって何度目かの食事の後に、『あの資料はとても役に立ちました。さすがは◯◯さんです』と“白い封筒”を差し出して、今度は秘密情報を持ち出すことを要求します。大抵のターゲットは“しまった”と勘付きますが、時すでに遅し。ここまでくれば、エージェント獲得工作の9割が成功したといえるでしょう」(同)
スパイの手口がここまで分かっているのであれば、途中で注意喚起して、“犯罪”を未然に防ぐこともできるのではないだろうか。だが、公安警察は決して割って入ることはしない。そこには彼らの非情な目的がある。
「公安部の内偵チームは大使館や通商代表部、あるいはターゲット宅の近くに“アジト”を設置して、24時間体制でスパイを監視します。警戒心が高いスパイが相手の時にはあえて尾行を巻かれたフリをして、相手が巻いたと思い込んで安心したところで、別のチームが尾行することもあります。
手の内を明かすことになるのですべては話せませんが、24時間365日の粘り強い捜査を続けて事件化しても、スパイ防止法がない日本では微罪にしかなりません。私たちにできることは、いたちごっこを繰り返しながら『公安には敵わない』と思わせて、連中の心を挫くことだけなんです」(同)
スパイは小説や映画の中だけの存在ではなく、意外にもサラリーマン諸氏をターゲットにして巧妙に近づいてくる。プロのスパイから完全に身を守る術はないのかもしれないが、都合の良い話と調子の良い人物には注意するという常識こそが、最善の武器になるだろう。
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