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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 異色の警察小説大賞の著者に聞く
55歳の新人作家・佐野晶インタビュー

警察小説大賞『ゴースト アンド ポリス GAP』働かない警察官“ごんぞう”が活躍する異色小説

警察小説が好きではなかったし、刑事ドラマも観ない

あの是枝監督作品のノベライズもてがける

ーーもともと警察小説はお好きだったのですか?

佐野 実は、鬼刑事が出てくるようなスリリングな話が苦手なんですよ。そもそもそれほど警察小説が好きではなかったし、刑事ドラマも観ない。唯一きちんと観ていたのは、倉本聰さんが脚本を書いていた『大都会 闘いの日々』(日本テレビ系)くらいですから。それでも、なぜか小説を書くなら警察ものだって思ったんです。

 ただし書くからには変化球でいこうと考えて、交番のお巡りさんを主人公にすることにしたんです。交番のおまわりさんだったら自分にとっても読む側にとっても身近な存在だし、実際に娘が財布を盗まれてお世話になったこともあった。その時に「報告書を訂正しなきゃいけない」「訂正印をもらわないといけない」と、何度も家に来てくれて「交番勤務も大変な仕事だな」と強く思ったんです。それと担当してくれたお巡りさんが、丁寧語とタメ口がブレンドされた話し方で、なんともユニークでえらく印象に残ったんですよ。

 そこで、いろいろと調べたら“ごんぞう”と呼ばれる働かないおまわりさんがいるなんて話も聞いて。そんな連中が積極的に捜査に参加するのではなく、歩いていたら偶然に事件とは呼べないような出来事に出くわすうちに、最優的に大きな事件に対峙するようにしたら面白いなとピンときて、わりと一気に書いちゃいましたね。

 ただ、書き上げたものの、自信もなかったし、編集者に売り込むこともできなかった。時々思い出しては読み返して、「ここはこうしたほうがといいな」と手を入れたり、警察の情報を足したりしていましたが、いつのまにかほとんど書いていたことを忘れていました。そうしたら一昨年、毎日新聞の夕刊の一面半分に『警察小説大賞』の記事が載っていて「これ、俺が書いているのにバッチリじゃん!」って応募したわけです。

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