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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 異色の警察小説大賞の著者に聞く
55歳の新人作家・佐野晶インタビュー

警察小説大賞『ゴースト アンド ポリス GAP』働かない警察官“ごんぞう”が活躍する異色小説

55歳で新人作家となった佐野晶氏

 新人警官が仮配置された派出所は、警邏(けいら)にも出ない、呼集にも応じない、すべてにおいてやる気のない自主的窓際警官“ごんぞう”の巣窟だった……。

 小学館が主催した第一回警察小説大賞において満場一致で大賞に輝いた『ゴースト アンド ポリス GAP』。著者である佐野晶氏に、小説を放つまでの経緯とこれまでの警察小説にはなかった、本作の着眼点などについて聞いた。

◇ ◇ ◇

――佐野さんはもともと、映画ライターとしてご活躍されていたそうですね。

佐野 普通にサラリーマンをやっていましたが、ストレスが積もったのかアトピーになっちゃって。会社勤めに支障が出るくらいに症状が悪くなったので退社して、なにか家に籠もって出来る仕事はないかなと探すなかで「ああ、そうだ。もういちど脚本家を目指そう」と思い立ったんです。

 昔から山田太一さんが大好きで、テレビドラマの脚本を書きたくて学生時代に脚本家学校に通っていたことがあったんですよ。そこで学び直してコンクールにも応募して選考に残ったりするんだけど、賞を取るまではいかない。「やっぱり駄目かな……」と思っていたときに、知人から妹さんの働く編プロで「映画のノベライズをやるっていうから手伝ってみないか」って声を掛けられたんです。

 脚本の勉強はやってきたものの、小説の書き方はまた少し違うだろうなと頭によぎったんだけど、思い切って「やってみます!」と答えて。ハリウッドのラブロマンスものでした。それがきっかけで、その編プロが出していた「FLIX」(ビジネス社)という映画雑誌でライターもやるようになった、というわけです。

――映画のノベライズを手掛けているうちに、オリジナルの小説を書きたいという想いに駆られたのですか?

佐野 いや、まったく書く気はなかったですね。知人の文芸系編集者から「小説を書いたら?」と言われたりはしていたけど、自分としては小説家はすごく上の存在の人っていうイメージがあって「私ごときが小説を書くなんてとんでもない!」と考えていました。

 ただ、ノベライズを書く際に「こういう描写が足りないな」と思ったら映画本編にそんなシーンがなくても書き加えたりしていたんです。今思えば、そういう部分に「小説を書きたい」とか「物語を作りたい」という気持ちが込められていたんでしょうね。

 そうしたら東日本大震災が起きて、仕事が暇になってしまった。

 昼間から風呂に入る生活を送っているうちに、なにか小説を書いてみようと思うようになったんです。で、書くなら漠然と警察小説が面白いかなって、「ゴースト アンド ポリス GAP」の基になる作品を書き始めていったんです。

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