国立感染症研究所の予算が大幅に削減されていた!? 予算配分でも新感染症を甘く見ていた安倍政権
#安倍政権 #新型肺炎 #コロナウイルス
予算が10年前の水準から20億円、3分の1も減少?
きっかけは、19年4月9日の参院内閣委員会での共産党の田村智子議員の質問で、これが今回の新型コロナウイルス問題で再燃している。
同議員は、委員会質疑の中でその予算について、国家公務員の定数削減により、「暫定予算が10年前の水準から約20億円、3分の1も減少した」と指摘。また、人員については、13年度には312人の研究員が在籍していたが、19年度は306人に減らされていることも明らかにし、「国民の生命や健康にとって重大な脅威となる行為」と安倍晋三政権の姿勢を強く批判した。
実はNIIDの体制はかなり以前から危ぶまれていた。11年に公開された「国立感染症研究所機関評価報告書」では同所の多くの問題点が指摘されている。
例えば、「NIIDは米国のNIH(国立衛生研究所)、CDC(疾病管理予防センター)、FDA(食品医薬品局)の3つの機能を一手に担っており、米国のそれらと比べ、業務に関わる人員数および予算額に“雲泥の差”がある。人員や経費が削減される中で、研究所の業務や研究の範囲は拡大し続けており、運営には限界がきている」としている。
これに対して同所は、「日常的な感染症および予期することが難しい新興感染症の脅威から国民の健康を守るために必要な機能維持のためには、予算・定員削減について十分配慮いただくことを切に希望する」と回答している。
まさしく、NIIDが懸念していた“新興感染症の脅威”が発生しているわけで、予算と定員に対する切実な希望は、“単なる自己保身”ではなかったことは明らかだ。
また、同報告書では、「NIIDの基盤的研究費、研究事業費の額が研究所の規模からみるとかなり少なく、かつ次第に減少しているのは本末転倒であり、国の感染症に対する姿勢の問題で今後の課題」と指摘。さらに、「すべての感染症に対応するには、研究者が圧倒的に足りない。日本の感染症対策の中枢機関であるにもかかわらず、毎年定員合理化(削減)がなされていることは問題あり、研究所の国民に対する指名と質の大きさに鑑み、定員合理化計画からは除外対象とするべきである」と指摘している。
これは、11年の評価報告書であり、この時点で上記のような指摘がなされているにも関わらず、安倍政権はその後もNIIDの定員合理化計画を進め、予算を削減したことは明らかだ。
田村議員は、「感染症対策は国の安全保障政策そのもの」とし、安倍政権の姿勢を強く批判したが結局、その後もNIIDへの対応が図られることはなく、新型肺炎の国内感染が起きている。
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