アカデミー賞が世界に門戸を開いた歴史的瞬間!? ポン・ジュノ監督『パラサイト』が主要賞を制覇
#映画 #スキャンダル #アカデミー賞 #パラサイト
『ジュディ 虹の彼方に』に主演女優賞が贈られた背景
今回、Netflixオリジナル映画としてマーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』とノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』の2本が作品賞にノミネートされていたが、外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA ローマ』(18年)と同様にアカデミー賞の頂点を極めることはできなかった。劇場興行主たちのネット配信に対する嫌悪はまだ強いものがあり、Netflixの作品賞受賞はもうしばらくお預けとなった。
作品賞以外では、『ジュディ 虹の彼方に』(3月6日公開)のレネー・ゼルウィガーが主演女優賞を受賞したのも印象的だった。『オズの魔法使』(39年)などに主演し、ミュージカル女優として活躍したジュディ・ガーランドの晩年にスポットライトを当てた実話ものだ。13歳で人気子役となったジュディは、映画会社MGMの上層部から厳しい食事制限をさせられた上に、ドラッグを常用させられていたことが知られている。大人になったジュディは、使い捨て同然でMGMから解雇された。
その後、ジュディは『スタア誕生』(54年)で再起を図るが、このときのジュディはアカデミー賞主演女優賞を確実視されていたものの、MGMからの妨害工作によって受賞を逃したと言われている。48歳の若さで亡くなったジュディ役を、撮影時48歳で熱演したレネーの主演女優賞受賞は感慨深い。パワハラ&セクハラが当たり前のように蔓延していたハリウッドの犠牲者でもあったジュディに対する、現代のアカデミー賞からの贖罪の意味もあったように思う。
デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』(86年)や『ワイルド・アット・ハート』(90年)などで活躍したローラ・ダーンの初めてのオスカー、助演女優賞受賞も嬉しいニュースだった。『マリッジ・ストーリー』の離婚弁護士役での受賞だが、作品賞ノミネート作『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』(3月27日公開)でも四姉妹の母親役を好演している。
受賞は逃したが、『ストーリー・オブ・マイライフ』で四姉妹の末っ子を演じたフローレンス・ピューはブレイク寸前の逸材だ。実在の女子プロレスラーを演じた『ファイティング・ファミリー』(19年)に主演して注目を集め、新感覚のホラー映画『ミッドサマー』(2月21日公開)やSF大作『ブラック・ウイドゥ』(5月1日公開)など話題作への出演が目白押しとなっている。
ゲイリー・オールドマン主演作『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(17年)でメイクアップ&ヘアー賞を受賞したカズ・ヒロ氏(旧名・辻一弘)は、『スキャンダル』(2月21日公開)で二度目の受賞を果たした。2017年に起きたFOXニュース社のパワハラ&セクハラ問題を真っ正面から描いた社会派ドラマとして見応えがあるが、シャーリーズ・セロンを実在の人気キャスターに大変身させた特殊メイクも話題となっている。受賞スピーチでカズ・ヒロ氏はシャーリーズ・セロンへの感謝の言葉を語っていたが、主演とプロデューサーを兼任したセロンの肝っ玉の太さなしでは完成しなかった問題作であることには間違いない。
『1917 命をかけた伝令』
監督/サム・メンデス 脚本/サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
出演/ジャージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット、リチャード・マッデン、クレア・デュバーク、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ
配給/東宝東和 2月14日(金)より全国ロードショー
https://1917-movie.jp
『ジュディ 虹の彼方に』
監督/ルパート・グールド
出演/レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンホン、ダーシー・ショー、ロイス・ビアソン
配給/ギャガ 3月6日(金)より全国ロードショー
https://gaga.ne.jp/judy
『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
原作/ルイーザ・メイ・オルコット 監督・脚本/グレタ・ガーウィグ
出演/シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 3月27日(金)より全国ロードショー
https://www.storyofmylife.jp
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事