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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『パラサイト』ポン・ジュノ登場!
『パラサイト 半地下の家族』アカデミー賞4部門受賞記念アンコール企画

アカデミー賞4部門受賞『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督&主演ソン・ガンホWインタビュー

2人そろっての来日は『グエムル 漢江の怪物』以来、13年ぶりとなるポン・ジュノ監督(画面左)とソン・ガンホ(右)。

 現実に起きた連続猟奇殺人事件を題材にした『殺人の追憶』(03年)、泣ける怪獣映画『グエムル 漢江の怪物』(06年)、グローバル化社会を痛烈に皮肉ったSF映画『スノーピアサー』(13年)と強力タッグを組んできた、韓国映画界の鬼才ポン・ジュノ監督と名優ソン・ガンホ。4度目のタッグ作となる『パラサイト 半地下の家族』(原題『GISAENGCHUNG』)の話題で、映画界は持ちきりだ。ポン・ジュノ監督の鋭い社会批評を、ソン・ガンホのユーモラスさと哀愁を帯びた肉体が見事にエンターテインメント化してみせている。携帯電話の電波も届きにくい半地下の借家で暮らす貧乏一家と高台の豪邸で暮らす裕福な上流一家との間に起きる悲喜劇を描いた本作は、カンヌ国際映画祭パルムドール(大賞)に続き、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞。米国アカデミー賞へのノミネートも有力視されている。

 2019年12月26日、ザ・ペニンシュラ東京にて記者会見を開いた直後のポン・ジュノ監督とソン・ガンホを単独インタビューした。お互いのことを「同志、同僚」と呼び合う2人が、『パラサイト』で描かれた「半地下」物件について、作品構造に影響を与えた日本人監督、さらには真犯人が見つかった『殺人の追憶』にまつわるエピソードまでを語った。(※アカデミー賞受賞により再構成して掲載します)

鬼才と名優が語るお金のなかった時代

――貧乏一家に生まれた浪人生の長男ギウ(チェ・ウシク)が一流大学生と身分を詐称し、富豪宅で家庭教師を始めることから、予測もつかない物語が始まる『パラサイト』。ポン・ジュノ監督自身が、大学生のときに家庭教師を経験していたそうですね。

ポン・ジュノ 当時、僕が付き合っていた彼女から紹介され、家庭教師を始めたんです。そのときの彼女が、僕の妻なんです。なんだか『パラサイト』の物語と似ているでしょう? 家庭教師先はとても裕福で、サウナ風呂もある立派な豪邸でした。普段は知ることのない上流社会の暮らしを覗き見る面白さを知り、その体験が今回の映画につながっています。でも、僕は2カ月間で家庭教師をクビになったので、映画のような恐ろしい出来事には巻き込まれずに済みました(笑)。

――クビになったのは、上流階級に馴染めなかったから?

ポン いえ、そういうわけではありません。家庭教師先の子どもは中学生で、僕の彼女は国語を教えていたんです。数学の教師も探しているということで、僕が数学を教えることになったんですが、実は僕は数学が大の苦手でした(苦笑)。そのことが先方にバレてしまい、2カ月で辞めることになったんです。もっと長く続けていたら、ほかの友達も家庭教師として呼び込んでいたかもしれません。アルバイトはほかにもいろいろと経験しました。一番続いたのは、結婚式のビデオ撮影です。大学生の頃は、このバイトをよくやっていました。なので、韓国には僕が結婚式を撮影したカップルが大勢いるはずです。

『パラサイト 半地下の家族』より。浪人中のキム・ギウ(チェ・ウシク)は一流大学生と偽り、IT企業の社長宅で家庭教師のアルバイトを始める。

――パルムドール受賞監督に結婚式のビデオを撮ってもらえたなんて、すごい記念じゃないですか。

ポン その頃の僕はまったくの無名ですから、自分たちの結婚式を撮ったのがポン・ジュノだったとは誰も気づいていません(笑)。

ソン・ガンホ アルバイトは俺もよくやったよ。20代の頃はずっと舞台をやっていたから、食べていくのが大変だった。もっぱら肉体労働だったな。マンションの建設現場でも働いたし、天井梁の職人について家を建てたりもした。演劇仲間は、みんな同じようにアルバイトしていたものだよ。

――ソン・ガンホさんはお父さんが画家で、文化的教養度の高い家庭で育ったと聞いていますが……。

ソン 亡くなった父は確かに画家だったけど、有名な画家というわけじゃなかった。絵を描きながら、教師の仕事もずっと続けていたんだ。残念ながら父の絵を描く才能は自分には受け継がれなかったんで、俳優の道を目指すことになったんだけどね。

ポン 映画をつくることを目的に、いろいろと経験してきたわけではないけれど、人生を生きてきた中で得たものが映画の中にも表れるんだと思います。ガンホ先輩の芝居を見ていても、それは強く感じます。僕が想像もしていなかったような複雑な表情や微妙な演技を、カメラの前で見せてくれます。僕もそうですが、脚本を書くために若い頃からずっと机に向かっているような毎日では、面白い映画をつくることはできないでしょうね。

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