『パラサイト』米アカデミー賞4冠も、“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士はブッタ斬り!
#インタビュー #瓜田純士 #ポン・ジュノ #パラサイト
”仁義なき殺人”はダメ!
――奥様の感想はいかがでしょう?
瓜田麗子(以下、麗子) グダグダさや強引さは、全然気にならなかった。映画ってそんなもんやと思うから。でも私は、貧乏はいいけど、心の貧乏な人が嫌いなんですよね。この映画に出てくる人たちはモラルがなさすぎて……。ダメさの中に愛とか正義があるならいいけど、最後まで心が貧乏で、誰も幸せになってない。なんて後味の悪い映画なんやろう……と思いました。
純士 嫁の言うとおりですよ。貧乏一家が実はハートフルだった、とかの救いがあればOKなんです。で、たとえば金持ち一家が事業でヘタを打って、そこに水害まで起きて、あのお屋敷が崩壊するほどの打撃を受けたときに、貧乏一家が「今まで世話になったんだから」と一念発起し、すべてのウソを打ち明けた上、金持ち一家のピンチを救ってあげるとかのストーリーだったらまだよかったけど、最後まで闇の部分で引っ張っちゃったから、きつかったな。
この監督は本当に、何を描きたかったんだろう? 貧乏一家の中で、比較的良心的と思えた人物が、真っ先にああいう目に遭っちゃうところもワケがわからない。こんな意地汚い発想で、よくカンヌを獲れたなぁ……。理解に苦しむわ。
麗子 強いてこの映画から教訓を見いだすのであれば、やっぱ「心の貧乏な人は幸せになれへん」ってことかな。
純士 でもそれを言うなら、あの人やこの人が、なんであんな目に遭うわけ? クズが全滅するのは構わないけど、そのほかの人々にはたいして罪がなかったじゃん。そんな話からは、教訓なんて何も得られないよ。この映画から唯一学んだことといえば、「愛撫は時計回りがいい」ってことぐらいかな。
麗子 まあ、「予想を裏切られた」という意味ではショッキングな映画ではあったな。韓国版の『万引き家族』みたいな作品なんかな? と思って見始めたけど、純士の言うとおり実態はB級映画やったな。
個人的によかったんは、「純士がこの映画を受け入れなかった」ってことやな。ひょっとしたら「面白い」言うんちゃうかな? って不安やってん。だって純士は、『友へ チング』とか好きやん? ちょっと病んでるやつ。
純士 病んでるけど、あれは人を殺すのにも理由というか大義があった。俺、“仁義なき殺人”はダメだと思ってるの。映画においては。
麗子 でも、『ジョーカー』では感動しとったやん?
純士 あれにはちゃんと、彼なりの大義みたいなもんがあったじゃん。北野武監督の『アウトレイジ』も、1作目と2作目には、自分なりの仁義を貫くストーリーがあった。でも、3作目の最終章はなんでもありって感じで、あまり好きにはなれなかった。なんでもかんでも「この野郎! バキューン!」で通用するならストーリーもクソもねえだろ、と。あんだけ人を殺して、自分まで殺すのはずるい。人の命や尊厳を舐めすぎだろ、と思ったんですよ。今日見た『パラサイト』にも、同様のいら立ちを感じました。
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