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『パラサイト』米アカデミー賞4冠も、“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士はブッタ斬り!

 第92回アカデミー賞にて、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が4冠に輝いた。同作は第72回カンヌ国際映画祭でも韓国映画界初のパルムドールを獲得したほか、第54回全米批評家協会賞、第73回英国アカデミー(BAFTA)賞、米脚本家組合(WGA)賞で脚本賞を受賞。まさに世界中で絶賛の嵐となっているが、そんなお祭りムードに疑問を呈する男がいた――。

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(初出:2020年1月17日)

撮影=おひよ

“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が、森羅万象を批評する不定期連載。今回取り上げるのは、カンヌ国際映画祭で最高賞に輝き、さらにはアカデミー賞作品賞の有力候補と目されている韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)だ。日本でも大絶賛の嵐が巻き起こっているが、そんななか瓜田は、キムチよりも辛口な批評を展開した!

 今作は監督から「ネタバレ禁止令」が出ているため、ストーリーについては、オフィシャルサイトに掲載されている以下の文章を引用するにとどめたい。

《“半地下住宅”で暮らすキム一家と、“高台の豪邸”で暮らすパク一家。この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく――》

 妻同伴で劇場入りした瓜田。映画の序盤では笑い声を上げていたが、中盤以降は静かになり、映画が終わるや否や、エンドロールも見ずに不機嫌な顔で退席してしまった。いったい何が気に入らなかったのか? 決定的なネタバレにならない範疇で語ってもらおう(編注:映画について何も知りたくない人は以下を読まないでください)。

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――いかがでしたか?

瓜田純士(以下、純士) 初めてですよ、映画を見てる最中に殺意が芽生えてきたのは……。この監督は人間をバカにしてんのか? という猛烈な怒りを感じました。

――どこに怒りを感じましたか?

純士 貧乏一家が知恵を絞って、金持ちの家に入り込んでいく。その着想はいいと思うんですよ。浅田次郎原作の『プリズンホテル』みたいな愉快なドタバタ劇なんだろうと思って序盤は楽しんでたんですけど、あまりにも禁じ手を使いすぎるから途中で冷めてしまい、しまいには怒りを覚えました。

 義理だったり人情だったり愛だったりを完全に無視して、最終的に全部めちゃくちゃにしていいっていうんだったら、誰でもなんでも作れると思うんですよ。“映画の仁義”みたいなもんを思い切り破ってる作品じゃないですか、これ。

 貧乏一家全員が、金持ち一家に入り込む理由を作るのって、大変だったと思うんだけど、それにしたって、いとも簡単すぎやしませんか? そこにスリルがまったくない。おまけに義理や人情もないから、共感もできない。金持ち一家に長年尽くしてきたあの人まで、あんな目に遭わせてしまうというのは、映画としてあまりにもお粗末じゃないですか? 「この映画は、最終的な着地点をどうしたいの?」と、見てて心配になってきちゃったんですよ。

――その「先を読めない展開」が好評のようです。

純士 日本でいったらドリフターズのコントって、最後に家が崩れるわ、茶碗は吹っ飛ぶわで、収取がつかなくなってみんなで大騒ぎするじゃないですか。ドリフなら最後にタライが落ちてきて、いかりや長介が「ダメだこりゃ」と言えば終われるけど、映画だとそうはいかない。さて、どうするつもりなのかと思って見てたら、結局『バトル・ロワイヤル』みたいになっちゃった。仁義もへったくれもない、ああいう物語が個人的には大嫌い。ストーリー展開も無理やりすぎるところが多く目につきました。

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