『フリースタイルダンジョン』TKda黒ぶちがチャレンジャーと共鳴し、バトルがセッションへと変貌!?
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人生経験のあるラッパーのカッコ良さ
1本目を先取したのはTKだった。序盤のSHAMOは熱さが先行していたように思う。本領を発揮したのは2本目から。熱さとともに言葉が突き刺さり始めたのだ。特に食らったのは、2本目での以下。
SHAMO「子どもが握ってくれたおにぎりを今日食ってここに立ってきたよ」
そして、3本目のやりとりも見てほしい。
TK「子どもが握ってくれたおにぎり それは愛がある話
そういうのは俺は本当たまらなく好きだぜ」
SHAMO「子どもを任せてる嫁さんにまずは感謝をしながら
俺は音楽で握れるこの壇上で」
子どもはおにぎりを握り、パパはステージでマイクを握っている。決して高校生RAP選手権では出てこないボキャブラリーだ。やっぱり、人生経験のあるラッパーはカッコいい。
上記の やりとりに象徴されるように、終盤はバトルというよりも完全にセッションのような形に変わっていた。TKとSHAMO、2人の波長はバッチリ合っている。内容だけじゃない。「ちゃんと息継ぎしてる?」と心配になるほど情報量が詰め込まれた早口バトルでもあった。バトル中のTKはメチャメチャ汗をかいてるし。今回に限っては、近くに酸素吸入器をスタンバイしておいたほうがよかったかもしれない。
晋平太のバトル解説に胸アツ!
1つ気になる箇所があった。2本目でSHAMOがこう言ったのだ。
「退屈でつまらない 俺との差は埋まらない
いや違うな どんどん上に行っちまった奴らに中指立ててる軍鶏
何故なら俺は飛べない 地に足ついてるからな」
なのに、彼は3本目をこんな言葉で締めている。
「蝶のように舞い 蜂のように刺すフロウ
俺は鳥 もっと高くFly high」
「軍鶏は飛べないから地に足がついている」と言っていたはずが、最後は「もっと高く飛ぶ」で締めるという流れ。これが矛盾に感じられ、筆者は突っ込みどころと捉えていた。
ラッパーの晋平太(しんぺいた)がYouTubeチャンネル「Yo!晋平太だぜ Raps」で、今回のバトルを解説している。彼の見解はこうだ。
「”俺は軍鶏 飛べないから地に足をつけてる”。それもすごくカッコいいんだけど、最後の最後にSHAMO君が“俺は鳥だ 高くFly high!”って言って終わった。そこまでメンタルがガンッ! て、変わったのかな。自分の考え方とかメッセージが変わってんのかな。自分の心境がこのフリースタイルの中で変化したのかな。……とか思いつつ、僕は聴いててすごい感動しました」
バトルの最中にTKの言葉が響き、心境が変化し、自身の放つメッセージが変わった。だとしたら、こんなに美しいことはない。いい意味での感情のぶつかり合い……というか、ぶつかり愛。晋平太、さすがの見解である。
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