向上心はゼロでいい！　哀愁の中年コピーバンド漫画『バンドしようぜ』

『バンドしようぜ』残尿、向上心ゼロ……中年の哀愁漂う

　このマンガはバンドの話そっちのけで、ぜんぜん違うストーリに脱線しがちなのもまた一興です。沢尻の息子（ニート）を改心させるために親子で相撲をとる話とか、釣り（ブラックバス、ブルーギル）の話で一話丸々使ったりとか、延々と中古車の話をしたりとか……あまりの脱線っぷりに思わず音楽のマンガであることを忘れそうになります。さらにちょいちょい出てくる中年の哀愁漂うシーン。

　残尿感からの尿もれ。まさに40代のおっさんあるあるです。こうなったらもう中年の道まっしぐら、後戻りできません。

　極めつきは、沢尻の音楽に対する後ろ向きな姿勢。同世代として、僕はこの後ろ向きすぎるヒーローに大変感銘を受けましたよ。バンドでコンテストに出場したり、自主制作CDを出そうと提案する仁美に対して……

「目標なんかない方がいいんだ」

　バンドの存在意義を否定するかのような力強い主張。普通のバンドマンなら、ちょっと耳を疑う発言ですよね。当然仁美も、この発言にはビックリです。

「オレは自分の演奏を誰かに聴いて欲しいとは全く思わない、本当はライブもしたくない」

　そうね、ライブとか正直、面倒くさいしね！　わかるわかる!?