向上心はゼロでいい! 哀愁の中年コピーバンド漫画『バンドしようぜ』
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その昔、宝島社から「バンドやろうぜ」(1988-2004)という音楽雑誌が出ていたのをご存じでしょうか? タイトルが示す通り、バンドマンのための音楽誌という感じで、楽器の通販広告やバンドスコアそして「メン募」がめちゃくちゃ充実していました。当時勢いがあったX(現・X- JAPAN)やBUCK-TICK、ザ・ブルーハーツ、ジュン・スカイ・ウォーカーズなどが音楽シーンを引っ張り、89年には伝説のバンドオーディション番組『イカ天 』(TBS系)も始まる中、モテたい中高生がこぞってイケベ楽器やイシバシ楽器でやっすいギターを買ってバンドをやり始める、いわゆる「第2次バンドブーム」が到来していたんです。
今回はたぶん、そんな「バンやろ」世代にジャストミートなマンガ『バンドしようぜ』をご紹介します。ヤマハの音楽配信サイト「mysoundマガジン」のWEBサイト上で連載されているマンガなのですが、漂う中年の哀愁といい、向上心がまったく感じられないバンドのダラけた感じといい、時折ぶっこんでくるシュールなギャグといい、とにかく面白い作品。この作品をタダで読ませるヤマハの心意気こそロックだと思うんですよ。
本作は主人公・ドラムの沢尻肇(45)、ボーカルの菊池ミキ(39)、ギターの佐々木達郎(40)、ベースの土沼孝之(44)による、ゆる~い中年コピーバンド「信濃リバーサイド」にまつわるお話。楽曲はバービーボーイズ、プリンセス プリンセス、パーソンズ、相川七瀬、レベッカなどなど、80~90年代のJ-POPが中心です。
各話のタイトルが、当時ブームになった曲名になっているところがちょっとシャレオツなんですけど、
「つんめったーい、いっずっみんっにっ、すぅあっしっをっひぃたっしってっ」
確かに、プリプリの奥居香はこんな感じで歌ってましたよ。だけど、だけど……なんだろう、フキダシ文字にしたとたんににじみ出る、このダサめな感じ。まあ、J-POPのコピーバンドだからダサいってわけじゃないんですけど、おじさんおばさんがやっているとなると、やっぱりある種の哀愁は漂いますよね。
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