人類全体が初めて直面している脅威…気候変動の“熱さ”と日本の冷めた無関心
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気候変動は世界の“常識”
いまさらではあるが、気候変動は二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出によって起こる現象だ。大気中に漂う温室効果ガスはその名の通り、温室のガラスのような働きをして、地表からの熱放射を閉じ込めてしまう。そのため、大気中の二酸化炭素濃度が濃くなると地球の気温が上昇する。これがすでに始まっている地球温暖化現象だ。もし、温暖化がさらに進んで、地球の平均気温が2度以上上がるとどうなるか。砂漠がどんどん広がり、極地の氷が融けて海水面が上昇。過酷な熱波、台風、ハリケーンが各地を襲来し、広大な地域で浸水、農業生産が乱れ、莫大な数の難民が発生と、まさに破局といっていい事態が地球を襲う。そして、このまま温室効果ガスの排出が続けば、地球の平均気温が2度以上上がることは確実とされている。主要な温室効果ガスである二酸化炭素は、石炭やガスといった化石燃料を燃やすことで生じているので、地球は今の“化石燃料依存”から早急に脱して、温室効果ガスの排出量を劇的に削減しなければならない――ということだ。
念のために確認しておくと、人間の活動が気候変動を引き起こしていることは、一般的なリテラシーを持っていれば、もう“常識”といっていいレベルの話だ。気候変動を否定したり、信じなかったりするのは、陰謀論者やデマゴーグ、その主張を鵜呑みにしてしまっている人々、石油・ガスなど化石燃料業界の利害関係者ぐらいのものだ。もちろん、そういう人が結構いっぱいいるのが問題なのだが。
認知心理学者スティーブン・ピンカーは、昨年邦訳版が刊行された著書『21世紀の啓蒙』で膨大なデータとエビデンスを示しながら「世界が良くなり続けている」ことを分析しているが、気候変動については「間違いなく憂慮すべき事態」としている。また、気候変動が間違いなく人間の活動によって引き起こされていることもはっきりと述べている。科学専門誌で査読された論文の著者6万9406人のうち、地球温暖化が人為的なものであるという仮説に異議を唱えていたのは4人だけで、「反論できるだけの説得力のあるエビデンスは見当たらない」そうだ。
そんなわけで気候変動はノストラダムスの大予言のような与太話ではなく、地球の人類全体が初めて直面している本当にやばい脅威なのだ。もちろん、ちゃんと気候科学を信頼している偉い人たちが手をこまねいているはずもなく、世界の名だたる企業や各国政府、自治体が2050年までに二酸化炭素排出ゼロを目標に掲げ、実際にさまざまなアクションを起こしている。グレタさんはこれらのアクションがまだまだ不十分だと批判しているわけだ。
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