ピエール瀧の役者復帰は、芸能人薬物問題のロールモデルになるか
昨年3月に麻薬取締法違反で逮捕されたピエール瀧が、来年公開予定の映画『ゾッキ』で俳優に復帰することがわかった。
同作は竹中直人、山田孝之、斎藤工の3人が監督をつとめ、近日中にクランクイン。瀧は今月下旬に撮影への参加を予定しており、およそ11カ月ぶりの俳優復帰となる。
この復帰報道を受けて、SNSではファンを中心に「復帰おめでとうございます」「正直帰って来てくれて嬉しい」と歓迎の声が湧いている。しかし一方では「さすがに復帰早すぎない?」「一般人だったら会社クビになるし社会復帰なんて無理なのにな」「芸能界は犯罪者に甘すぎる」と否定的な意見もあり賛否両論だ。
「薬物で逮捕された有名人」への過剰なバッシング
瀧の薬物逮捕からはや1年。俳優にアーティストにと多方面で活躍していた瀧だけに、その逮捕が世間に与えた衝撃は大きく、ワイドショーや週刊誌はその巨額な違約金を含む瀧の私生活や芸能人生命について扇情的に報じて騒動を広めていた。
他方で、瀧の逮捕騒動をきっかけに、薬物で逮捕された有名人を過剰にバッシングすることや、出演作品を“お蔵入り”にすることの是非について、ネット上では議論が盛んに行われた。
昨年12月には、相方・石野卓球がTwitterで呟いた内容が注目を集めている。
<あと、執行猶予期間ってまた社会復帰する為の期間なのに音源差し止めて収入源を断つってどういうことなんだろうね?だったら懲役食らった方が期間としては短いよね。まあ、アイツの作曲って富士山ぐらいしかねえけど>
石野は元所属のソニー・ミュージックレーベルズによる電気グルーヴの音源・映像を回収および出荷・配信停止に抗議を続けている。この問題提起には、ファンからも「誰かを傷つけた罪でもないし音源や作品の差し止めは反対です」「本人の更生を困難なものにする措置だと思う」と意見が相次いだ。
“見せしめ”よりも適切な治療と更生へのサポートを
当の瀧は、昨年4月に都内の薬物専門施設で治療をスタートさせている。
「女性自身」2019年5月7日号(光文社)によれば、瀧は当初は薬物依存治療のため故郷・静岡の病院に入院する予定だったという。しかし、家族や周囲と話し合いのなかで“妻子のいる自宅から通院したい”と思うようになり、通院治療を選択したそうだ。
逮捕後、瀧は「家族に迷惑をかけられない」との理由から離婚を申し入れて、一時は家族と別居状態だった。しかし妻は最終的に“娘と2人で夫を支えよう”と結論を出し、自宅に戻ったという。
同病院が行う治療プログラムは<週1回の頻度で通い1回につき約2時間、ワンクールの治療は約半年間で終了>とのことで、瀧の治療にも一定の目途がついたのかも知れない。ただし、薬物依存は継続的な治療が必要な病であり、瀧は今後も家族や周囲のサポートを受けながら自身と向き合っていかねばならない。
そんななか報じられた瀧の役者復帰。ちなみに「週刊ポスト」2020年2月14月号(小学館)も、瀧が今年配信を予定する動画配信サービスNetflix制作のドラマ『全裸監督2』に出演を予定していることを報じている。昨年8月のシーズン1にも滝が出演しており、その登場シーンも手が加えられることなく配信されていた。賛否両論あるだろうが、瀧の俳優復帰への道は絶たれていない。
芸能人や著名人の薬物報道が相次ぐなかで、逮捕された本人を過度にバッシングして、仕事を取り上げたり復帰の道を絶ったりと厳罰を与えるよりも、適切な治療や更生へのサポートが重要性であるという認識が広まりつつある。瀧の復帰が、その成功の一例になるよう願う。
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