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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 宮沢氷魚×今泉力哉監督『his』 
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.568

恋愛コメディの旗手・今泉力哉監督がさらに進化! 新しい家族、新しい社会の在り方を描いた『his』

新しい共同体の在り方を予感させるエンディング

映画『愚行録』(17)以降、クセのある美女役で注目を集めるようになった松本若菜。子育てと仕事の両立に悩むシングルマザー役を好演している。

 幼い空は守られるべき存在だと思い込んでいた大人たちだが、逆に大人たちが空から教わることも少なくない。「間違ったときは、素直にごめんなさいと謝れば、きっと許してもらえるよ」という空の言葉に、法廷で傷つけ合っている大人たちはハッとさせられる。裁判での勝ち負けよりも、もっと大切なものがあると渚たちは気付く。これまで一方通行の片想いを描くことの多かった今泉監督作品だが、本作では迅も渚も玲奈も、その間にいる小さな空を見つめることで温かい目線がクロスすることになる。

 働き方改革が叫ばれて久しいが、働き方の多様性が認められるのなら、いろんな暮らし方も当然あっていいはずだ。新しい時代に適した新しい家族、新しい共同体の在り方もあってしかるべきだろう。LGBTものというジャンルに収まらない形に本作を撮り上げた今泉監督自身が、育ち盛りの3人の子どもを持つ父親でもある。きっと、父親として、ひとりの人間として、3人のお子さんたちから今泉監督はいろんなことを日々学んでいる最中なのではないだろうか。

『his』
企画・脚本/アサダアツシ 監督/今泉力哉
出演/宮沢氷魚、藤原季節、松本若菜、松本穂香、外村紗玖良、中村久美、鈴木慶一、根岸季衣、堀部圭亮、戸田恵子
配給/ファントム・フィルム 1月24日より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー中
(c)2020 映画「his」製作委員会
https://www.phantom-film.com/his-movie

最終更新:2020/01/31 20:00
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