【新型肺炎】現地採用邦人、武漢から脱出できず!? 駐在員との身分格差があらわに……
#中国 #新型肺炎
中国で猛威を振るっている新型コロナウイルス。1月30日までに、政府によるチャーター機の第1便と第2便で、封鎖された武漢にとどまっていた日本人とその家族416人が帰国した。
政府によると、現地には今なお200人ほどの日本人が とどまっているとされる。政府は今後も武漢在住邦人の帰国便をチャーターする予定だが、現地にとどまるAさん(仮名・20代男性)は、武漢から離れるつもりはないという。
「チャーター機で帰国すると、8万円請求される と聞いてあきらめました。チャーター機は東京着ですが、私の実家は四国で、総額10万円くらいかかる。さらに事態が収束して武漢に戻るのにも、またお金がかかりますしね。駐在員は会社が負担してくれますが、私のような月収15万円程度で現地採用で働いている人間にとっては、かなり痛い。現地採用者や自営業の知人の多くは帰国しないようです」
そもそも当初、政府が見積もっていた「武漢在住邦人500人」という数字も正確ではなかった。
「500人というのは、あくまで外務省に提出された在留届をもとにした数字。現地採用者や自営業者の多くは在留届を提出しておらず、カウントされていない。実際には800人近い日本人が武漢に住んでいたのでは?」(同)
一方、食品関係の日系企業の駐在員で、春節を前に帰国したBさん(仮名・40代男性)は話す。
「1月10日くらいの時点で、社内で『新型肺炎の感染拡大の恐れがあるため、春節休みを繰り上げて帰国することを勧める』という通達が出されました。そこで、日本人駐在員の多くは20日ごろに帰国したんです」
1月10日といえば、まだ新型肺炎による初めての死者が出たことが公にされた段階で、メディアでも、ここまでの騒動に発展すると予見していた媒体は少数派だった。
AさんはSNSでつながっている現地在住の他の日本人にもこうした情報を伝えたというが、前出のBさんによると「新型肺炎の危機意識を持ったのは20日ごろ。武漢市の封鎖も、実施後の23日の夜に知った」という。
「現地採用者と駐在員は同じ日本人でも住む世界が違うので、情報の共有がされていなかったのかもしれません」(Aさん)
1912年に発生したタイタニック号の沈没事故では、船室の等級によって死亡率に大きな開きがあったが、在留日本人の武漢からの脱出にも同様の格差が存在するようだ。
(文=牧野源)
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