落ち目な今こそアメリカにはアジア系大統領が必要! “マイノリティの代弁者”が自虐ネタに打ち勝つ日
#スタンダップコメディ #Saku Yanagawa
2020年の大統領選でアジア系の民主党候補が浮上の背景
2020年の大統領選で民主党の候補にアジア系のアンドリュー・ヤンが浮上、というニュースが昨年流れてきたし、あながちジョークでもないかもしれない。
歴史的に見れば、これまでアメリカの多くのエスニック(マイノリティ)コメディアンが自身の人種がまとうステレオタイプを自虐し笑いに変えてきた。つまり身体的特徴や、時に不名誉なイメージをもジョークにしてしまうことで笑い飛ばそうというものだ。露骨な差別も残っていた時代、たとえ辛い現実でも笑いに昇華することでそのステレオタイプさえも打破しようとする先人たちの努力だろう。私自身も舞台に立つ中で、”そのようなネタ”が容易に笑いを生むことは肌で感じてはいたが、その一方でどこか違和感を覚えずにはいられなかった。おそらく私を含めた幾多のコメディアンたちが、ステレオタイプを自虐することが、状況の打破に繋がるどころか、やみくもに助長しているに過ぎないのではないかという疑問と長らく戦ってきたに違いない。
その点、ロニーの言葉からは、陳腐な自虐よりむしろ、自身が「アジア人」であることに誇りを持ち、その上でアメリカという国をも笑い飛ばしてやろうという気概と強い意志が伝わってくる。この姿勢こそ、「ダイバーシティ」が叫ばれ、誰もが本来イキイキと生きられるようになった(はずの)今日、マイノリティのコメディアンに求められている「新時代」の在り方なのかもしれない。
本作のタイトルの”Destroy”には「壊す」という意味の他に「爆笑の渦に包む」という意味がある。力強い言葉で「移民」「アジア人」ひいては「マイノリティ」の代弁者としてアメリカをまさに”Destroy”する新たなスターの誕生を見た気がした。
ロニー・チェン
マレーシア出身のコメディアン。オーストラリアでキャリアをスタートさせる。人気ニュース風刺番組『ザ・デイリー・ショー』でコーナーを担当するなどアメリカでも人気急上昇中。
”Asian Comedian Destroys America!”
移民としてアメリカに渡ってきたロニー・チェンがアジア人の視点から社会の矛盾を語り尽くし、“アメリカをぶっ壊す“意欲作。
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