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性転換=心身障害!? 韓国社会を揺るがす“性転換軍曹”の強制除隊問題

韓国軍はLGBT問題に関する議論を避け続けている?

 そもそも韓国軍には「性転換したら除隊」という規則はない。しかし、「心身障害となった兵士は除隊させる」という規則があった。韓国陸軍はピョン軍曹に、「性転換手術を受ければ心身障害と認定されて軍で勤務できなくなる」と事前通告していたという。

 だが、ピョン軍曹は“女性”として生きていく道を選び、その上で軍に残りたいと希望した。結果、帰国したピョン軍曹は軍の病院で検査を受けさせられた挙句、「男性が陰茎と左右の睾丸を失った」という理由で「心身障害3級」と判定されてしまった。

 以上が、韓国陸軍によるリリースの背景だ。

 軍の除隊決定を受けたピョン軍曹は22日、NGO「軍人権センター」で緊急記者会見を行った。同NGOは2009年に軍内部での人権侵害を追及する目的で設立された組織で、韓国軍からは「軍の統率を混乱させる」として蛇蝎のごとく扱われている。

 ピョン軍曹はそこで、「子どもの頃から軍人になるのが夢だった。女性兵士として軍に残りたい。軍に戻るその日まで闘う」と語っている。そして、「この場を借りて、応援してくれた所属部隊長と軍団長、戦友に感謝する」を変わらぬ軍への愛情を示した。

 これに対して韓国軍は、「この事案が長引けば国防力に影響が及ぶ可能性がある。今回の件を機に、政策決定を急に下すのは不適切だ。十分な社会的議論が必要」とコメントし、LGBT問題に関する議論を避け続けている。

 保守と革新で社会が分断した韓国で、軍隊とLGBTというタブー視されてきた問題が新たな波紋を広げている。国防と人権という共に重要な価値観の対立は、分断が固定化している韓国社会にどのような影響を与えるのだろうか

金沢健太(ジャーナリスト)

明治大学卒業。"日本一厳しい学校"で日本の昭和体質に長年の疑問を感じており、令和に入り一念発起。ライターとして独立し、古い日本体質、権力に対して疑問を投げ掛けた記事を手掛ける。

かなざわけんた

最終更新:2020/01/29 13:25
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