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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > “第7世代の刺客”DJ松永に熱視線
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

“第7世代の刺客”Creepy Nuts・DJ松永の、爽快で痛快なべしゃり

Creepy Nuts・DJ松永「(バラエティ番組を)作ってる人は酔狂ですよ、マジで。イカれてるよ」

 現在、第7世代という言葉は、もっぱら若手芸人を指す言葉として使われている。しかし、この言葉をラジオで最初に掲げたとされるせいやは、その対象をお笑い芸人に限定していなかったらしい。ミュージシャンやYouTuber、俳優やスポーツ選手など、平成生まれの若手を分野問わず含めていたという。

 19年は、お笑い第7世代が活躍を見せた。20年は、ジャンル横断的な第7世代が、何かを引き起こすのかもしれない。

 で、そんな広義の第7世代に含まれるかもしれないミュージシャンに、Creepy Nutsがいる。彼らは「MCバトル日本一のラッパー『R-指定』とDJバトル世界一のDJ、『DJ松永』による1MC1DJのHIP HOPユニット」(ホームページより)。ラジオ『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティを務めているほか、最近はテレビのバラエティ番組で見かける機会も増えている。

 そんなCreepy Nutsが18日の『あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~ 』(テレビ東京系)に出演。バラエティ番組への出演を通して感じたことをDJ松永が語り、場を沸かせていた。多弁を尽くして語られたその内容は、次の一言に集約されるだろう。

「(バラエティ番組の)仕事は酔狂。大好きだけど、作ってる人は酔狂ですよ、マジで。イカれてるよ」

 松永いわく、バラエティ番組では人間関係を凝縮したような空間が短時間で構築される。しかも、本番では旧知の仲のように踏み込んだことを聞いてくるのに、終わった途端にスッと他人行儀になる。これはかなり怖い。そんな仕事を1日に何本もこなすとか、「精神壊れちゃわないのかなってすごい思う」。

 また、自分がバラエティに出演してうまくいかなくても、周囲はあまり助けてくれず、ちゃんと冷たい視線にさらされる。その場にそぐわない話を自分がしているとき、共演者は「どうせカットされる 」という目をしている。「今のこの時間を早く消化」しようといった態度を示す。しかも、「しゃべりうまい人が正義みたいな空気出す。そういう業界だと思うとすごいですよ」。

 さらに、自分で話したことがそのまま流れるラジオは、発言内容に自分で「ケツが持てる」。けれど、テレビには編集がある。そして編集に自分は立ち会えず、自分の発言は番組上都合のいいように編集される。ドッキリ番組などはその最たる例で、もしも仕掛けられたとしたら「人の人生どう思ってるのか」とさえ感じる。

「人の人生にケツ持てないくせに、何オファー出してくれてんだってことですよね」

 横にいるオードリーや銀シャリの制止を振り切り、加速していくDJ松永のテレビへの批判的な語り。横で聞いていた若林が繰り返し言う。

「この感じでしゃべってたら、テレビ増えちゃうよお前」

「(テレビに)向いてるよ。なんなら今一番テレビがほしいよ」

 テレビの中心でテレビの仕組みを説明しながら、テレビをチクリと刺す。そういうタレントは芸能界の外から繰り返し現れる。マツコ・デラックスのように定着する場合もある。ネットを中心にテレビへの批判が広がる中で、その批判を前もって織り込み済みにしておけること、視聴者のみなさまの声も取り入れていますという自己批判のポーズが取れること、そんな意味合いもテレビ側にはあるのかもしれない。そういう意味でDJ松永は「今一番テレビがほしい」存在なのかもしれない。

 けれど、そんなシニカルな見方はひとまずおいといて、DJ松永の口から生々しく語られる批判は、爽快で痛快で面白い。複数の話題が並走しつつ奔流しトランスしていく感じは、なんだかDJ感もある。20年、酔狂なフロアを沸かせる彼らのプレイを見る機会は、さらに増えていくのだろうか。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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Twitter:@inyou_te

いんようてれび

最終更新:2021/09/21 10:24
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