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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、『パラサイト』を見てポン・ジュノに殺意が芽生える!?

B級ホラーと変わらない

――それは具体的には?

純士 突然すぎるセレブのパーティーにしても、ラストを描きたいがために無理やり開催された感が強いし、突然の豪雨にしても、避難所であのセリフを言わせるために無理やり起こしたとしか思えない。おかんをハンマー投げの選手にしたのだって、ただ単に「怪力で仕留める」という場面を描きたいからだろ、って。

――でもそんなことを言いだしたら、映画で伏線を張ることが、すべて否定されてしまうのでは?

純士 伏線はさりげなく回収されるからいいんであって、あんな無理やりな回収だったら興醒めですよ。発想はいいけど、表現がヘタくそなシーンはほかにもまだまだありました。モールス信号も思いつきとしてはいいけど、あんなメッセージを相手に伝えるためには、お互い何十時間張り込まなくちゃいけないんだって話で、現実味がまったくないから、感動なんてできっこない。

 笑わそうとしてるシーンも、もっとリアリティーや緊張感が伝わるようにしてほしかった。過剰に演出しすぎですよ。絶対に見つかっちゃいけない一家が、あんなにドタバタ走り回ったり、階段の壁からひょっこりはんみたいに顔を出したりっていうのは、マンガならいいけど、実写だとリアリティーがなさすぎる。結果、スリルが出ないから、当然笑えないわけですよ。

 あと、動画を撮られたことがきっかけで、攻守が逆転する場面があったじゃないですか。あれ、大きな見せ場だったと思うんですけど、そのあとのギャグシーンが長くて、途中でウンザリしちゃいました。金持ち一家がキャンプで留守にしてる間に、貧乏一家が羽根を伸ばすシーンにしたって、無駄に長くてテンポが悪い。2、3分やれば理解できるのに、いつまでもグダグダやってるからアホらしくなっちゃいました。

――人物描写はいかがだったでしょう?

純士 全体的にずさんでしたね。あれだけ事業に成功してる社長が、名刺1枚で人を簡単に信用するわけがないし、パンツ1枚で運転手をクビにするのもおかしい。本来なら、車の中に女物のパンツが落ちてたら、嫁の浮気を疑うとかの思考があってもいいはずじゃないですか。なのに、ペテン師の言い分がすんなり通っちゃう。そんなバカな、って話ですよ。そんなバカな、というコント路線で最後までいくならOKなんだけど、そこに社会的テーマみたいなものまで盛り込んできたから、ざけんなよ! と思うわけですよ。

 そんななか比較的、人物描写が丁寧だったのは小さな男の子でした。インディアンを好きだとか、絵を描いてるとか、無線ごっこをしてるとかの意味ありげな描写があったじゃないですか。でも、その人物描写が特に生かされることなく終わっちゃったから、そこでも大いにガッカリしました。

――作品のメッセージみたいなものは伝わってきましたか?

純士 よくわからなかった。最後に残された奴が肉親に会いたがる気持ちはわかるけど、じゃあ消えてった奴らに関する説明はほったらかしか? 俺はいったい何を見せられてるんだ? って、監督に対して腹まで立ってきちゃって。

 貧富の差みたいな社会的問題提起を入れようとしてたみたいだけど、あんなぐちゃぐちゃな展開になるなら、無闇に人が死ぬB級ホラーと何も変わらないですよ。

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