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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 金密輸犯人の狙いは不正還付
さんきゅう倉田の貨「へぇ~!」のはなし【6】

金塊密輸犯の狙いは消費税の不正還付!? 香港経由で楽して儲かる“怪しいバイト”にご用心

さんきゅう倉田

 少し前まで、金塊の密輸をして捕まった人たちのニュースが頻繁に流れていました。

 どうして彼らは金の密輸をするのでしょうか?

 金を盗んでいるわけではありません。こっそり日本に金を持ち込むだけで、得をすることがあるんでしょうか。

 実は彼らは、消費税の不正還付を受けるために密輸しています。

消費税の不正還付??

「消費税の不正還付」と聞いても、わけがわからないと思います。

 例えば金1億円分を売ると、消費税がかかるので1億1000万円で取引することになります。みなさんが、トイレットペーパーや野菜を買うときと一緒です。

 消費税のルールでは、このときの1000万円は、手元に残りません。

 でも、密輸をすると、この1000万円をまるまるもらうことができます。1億円の金を密輸するだけで、1000万円の利益が出るのです。だから、悪い人たちは金の密輸を積極的に行っていました。ニュースになるのは、そんな人達が税関で見つかった場合です。

金の密輸が減ったワケ

 金に密輸が発覚すると、罰金が科せられていました。法律によってその額は異なりますが、多くても「1000万円」や「脱税額と同じ」で、イチかバチかで密輸をする人たちが大勢いたのです。

 このため罰金額が、脱税額の10倍に引き上げられました。1億円の密輸で最大1000万円だった罰金が10億円になったのです。これは、素晴らしい改正です。買取業者も、密輸されたと知りながら買い取った場合には罰則があり、大手の業者は「刻印が消してあるものは買い取らない」などのルールを設けています。これらにより、リスクを恐れて密輸は減ったようです。それでもいまだに密輸を繰り返す人間はいて、そのようなアルバイトがあります。

元芸人が同期を誘う密輸のアルバイト

 すでに芸人を辞めた人間が、同期の芸人に金の密輸を持ちかけていました。お金と知識のない芸人たちに「香港旅行ができて1万円もらえる」と釣って、帰りに金を運ばせる、最低のアルバイトです。みんな断ったそうですが、誘ってきた元芸人は、繰り返し金の密輸を行っていたのかもしれません。自分はリスクを取らずに、昔の仲間を危険に晒す。おそらく、逮捕されるリスクも説明していないと思います。知り合いの芸人たちが手を出さなくて本当に良かったです。

 また、ビジネスで香港に度々訪れる知人によると、現地の人間に金を密輸するアルバイトを紹介されることがあるそうです。そのアルバイト代は10万円。数億円の金を運んで、10万円です。金を持って逃げる人はいないのでしょうか。いずれにせよ、リスクとリターンが釣り合わない、違法なアルバイトです。

今回のポイント
「金の密輸を持ちかけられたら、その人間とは縁を切るべし」

 楽して儲かるアルバイトなんて、世の中にはありません。話を持ちかけられたら、見えないリスクが必ずあります。そのような人間とは、速やかに距離を置き、自分の身を守りましょう。

さんきゅう倉田(お笑い芸人)

大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち退職、芸人に。

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さんきゅうくらた

最終更新:2020/01/17 12:12
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