テレビ局で広がる「働き方改革」 長時間労働・激務が当たり前な業界に変化?
テレビ東京の大江麻理子アナウンサーが8日、メインキャスターとして月~金に出演する経済ニュース番組『ワールドビジネスサテライト(WBC)』(テレビ東京系)を、“1月いっぱいお休み”することを報告した。
大江アナはTwitterで、<WBCを担当して6年近く。ちょっと疲れが溜まってきていたことと、キャスターの働き方改革を進める会社の方針で、1月いっぱい、お休みをいただくことになりました。毎年この時期に冬休みがあるのですが、それに合わせて有給休暇も消化します。しっかりリフレッシュして2月に戻ってまいりますね!>と宣言。冬期休暇と有休を使って長期休暇を取得し、リフレッシュするようだ。
同番組のフィールドキャスターをつとめる相内優香アナも、大江アナの長期休暇にTwitterで言及。<平日毎日、夜の帯番組を担当するのは本当に体力勝負です。ここでちょっとリフレッシュ、走り続けている身体を十分に癒してくださいね! 2月にまた素敵な笑顔の大江さんに会えるのを楽しみに待っています。WBSチーム、力を合わせて留守番頑張ります!>と述べ、万全なるバックアップ体制をアピールした。
大江アナの休暇取得に関して、SNSでは「リフレッシュ休暇とのこと、とても良いと思います」「ゆっくり休んで下さい!」と労いのコメントが多数。
そのほかにも、「これをきっかけに、日本人も長期休暇を取る人が増えるとかそういう意識が浸透するといいですね」「働き方改革。少しよい時代になってきた」「賛成します。こういう働き方が世の中に広がってほしいと思います」「他局のキャスターやアナウンサーさん達も長期休暇を取れる流れになったら素晴らしいですね!」といった好意的な捉え方が多く見受けられる。大江アナの休暇報告ツイートには約3万件の「いいね!」がついた。
テレビ業界は変わろうとしている?
激務で有名なテレビ業界。2013年~2017年に在京キー局が労働基準監督署から是正勧告を受けた回数は、テレビ朝日が4回、日本テレビが2回、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビがそれぞれ1回。いずれの違反内容も、正社員もしくは契約社員への長時間労働だった。
つい数年前まで長時間労働が当然とみなされてきたテレビ業界だが、一連の働き方改革によって、キー局を中心に労働環境の改善に取り組んでいる。
2017年12月、NHKは「NHKグループ 働き方改革宣言」を発表。番組のスタジオ収録は原則として22時終了(大河ドラマの現場は原則21時)とすることを掲げるなど、長時間労働に頼らない組織風土を整えようとしている。
テレビ朝日では、土日を含まずに5日連続で休暇を取得すると年に5万円を支給する制度をスタートしており、連休取得率は毎年95%を超えるという。また、年に7回金曜日が休みになる「ラッキー!フライデー」制度も導入しており、社員が積極的に有給休暇を使える環境づくりを進めている。
こうしたテレビ業界の変化を象徴していたのが、2019年春クールに放送されたTBSドラマ『わたし、定時で帰ります』だろう。同ドラマは、吉高由里子演じる主人公のWEBディレクターが「残業しない」「定時に帰る」をモットーに仲間と働く様子を描き、最終回の平均視聴率は12・5%を記録した。
同ドラマでは、その制作現場でも作品の理念が徹底されていたようだ。プロデューサーの新井順子氏は、ウェブメディア「advanced(アドバンスト)」の対談インタビュー内で、2018年6日に可決された働き方改革関連法案を意識して準備を始め、2019年4月の施工に合わせて放送スタートさせたことを明かしている。
新井氏は、「働き方がテーマのドラマなので徹底していて、みんなが帰りやすい空気をつくるように意識していました」とし、深夜まで撮影が及ぶことを防ぐためにシーン数を抑えて効率化を図ったり、スタッフは二交代制で撮影に取り組んだりと、働きやすい環境を工夫していたことを明かしている。
テレビ業界の長時間労働という”慣習”は、変わろうとしているのだろうか。局内のみならず業界の内側で働くすべての人々に、この改革がよい形で行き渡ってほしい。
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