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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > Kダブシャインのセクハラ騒動

ラッパーKダブシャインがAbemaTVでセクハラ!? Zeebraを中心にヒップホップにおけるポリコレ議論に発展

ワタナベエンターテインメント公式サイトより

 1月2日にAbemaTVで配信された『フリースタイルMonstersWar2020 令和までお待たせしすぎたかもしれませんSP』において、ラッパーのKダブシャインがセクハラ行為に及んだとして、物議を醸している。

 有名人が監督となってラッパーチームを結成し、フリースタイルバトルを繰り広げるというこのスペシャル番組。審査員として出演していたKダブシャインは、同じく審査員の作家・LiLyの胸元を覗き込み、さらにはLiLyが話している横で男性器をくわえるかのようなジェスチャーを行った。

 この様子の動画をツイッターユーザーがセクハラであると指摘して投稿したところ、女性ラッパーの椿が「セクハラの自覚無いんだろうなぁーKダブさん」などと反応。さらに、番組のMCを務めていたZeebraが「これはセクハラになりますね。本人や制作側が気付かないという裏には実際どこまでがセクハラに値するのかというラインが伝わってないんだろうと思います」と投稿すると、Zeebraを中心にツイッター上でヒップホップにおけるセクハラについて議論が展開されることとなった。

 一方、当事者のKダブシャインもツイッターで弁明。番組にゲスト出演していた村西とおる監督が際どい“エロコメント”を連発していたものの、MC陣がスルーしていたため、〈監督を独りにしてはいけないと思い、目の前に来たカメラでリリー様に悪ふざけしたという経緯よ〉と説明した。さらに、〈と言っても、不愉快になってる人たちが許すとは思わないけどね〉と非を認めたうえで、〈これはセクハラでなくエロじじいのスケベ悪ノリとして非難してくれってのは贅沢?〉とコメントしている。今回の一件について、ヒップホップ事情に詳しい音楽業界関係者はこう話す。

「KダブシャインとLiLyとの仲の良さがあってこその行為だったとは思いますが、傍から見ればセクハラそのものでしょう。また、この行為の背景にはKダブシャインの“セクハラ意識の低さ”もあっただろうし、あるいはヒップホップというカルチャーにおいてセクハラが許容されている現実が原因だったのかもしれない。いずれにしろ、Kダブシャインの行為がひとつの問題提起となり、ヒップホップにおけるセクハラや女性の立場については、議論されることとなったわけです」

 ヒップホップの楽曲では女性を「ビッチ」と呼ぶなど、女性蔑視的な表現が出てくることも多い。ミュージックビデオでは、男性ラッパーが露出度の高い女性をはべらせているような場面も頻出する。つまり、ヒップホップがセクハラ的要素を多く含むカルチャーであるのも事実なのだ。

「自分の意見やライフスタイルを自由に表現できるのがヒップホップカルチャーです。だから、イリーガルなこともセクシャルなこともリリックにしている。そういった部分を無視して、あらゆる表現を規制してしまうと、ヒップホップらしさが損なわれるという側面もあります。

 しかし、セクハラだけでなく差別的表現も含めて、配慮しなくてはならない部分はある。特に今、ヒップホップは世界で最も愛されている音楽になっており、影響力も大きい。そう考えると、“ポリティカル・コレクトネス”についてしっかり考える必要があるでしょうね」(同)

 一方で、メディア側からはこんな意見もある。ネットメディア関係者は、こう話す。

「もちろん表現の自由は確保されるべきであって、現実問題としてラップのリリックを規制するというのは難しい。ただ、メディアの方で、犯罪行為を歌うラップやセクシャルなラップの扱いを制限することはあると思います。実際、犯罪行為を直接的な表現で歌うラップがオーバーグラウンドなメディアにあまり登場していないように、ある種のゾーニングが行われるということですね。

 今回のKダブシャインのセクハラ行為については、編集でカットするという選択肢もあったはずだけど、AbemaTVはそのまま使ってしまった。ネット配信番組ということでOKラインが甘めだったのかもしれませんが、このOKラインを見直す必要もあるでしょう。ヒップホップにおけるセクハラ問題の根本的解決にはなりませんが、ネガティブな影響力をできるだけ排除するための方策として、メディア側が対応するということも重要になってくると思います」

 今回の騒動を受けてZeebraは、ツイッターで「ポリティカルコレクトネスとエンタメのバランスって難しいけど、諦めちゃいけないと思ってます。とにかくポイントは弱者に優しくある事」ともコメントし、自身のラジオ番組で積極的に議論を展開している。自由な表現を許しながらも、すべての人に優しいヒップホップを実現するには、日本のヒップホップ界の先頭に立ってきたZeebraの存在が重要になりそうだ。

日刊サイゾー

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最終更新:2020/01/28 10:37
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