オリンピックイヤーにアイドル界はどう変わる？　2020年アイドル界大予想　注目はBEYOOOOONDSと豆柴の大群

■東京オリンピックの影響

　今年、なんといっても考えておかなければならないのは、東京オリンピック開催による影響だ。一番大きいのは、オリンピック開催期間の前後において、東京近郊の大規模施設が、ほぼ使用できなくなるということだ。事実、毎年8月初旬にお台場で開催されていた『TOKYO IDOL FESTIVAL（TIF)』は、開催時期を10月初旬に移すと発表された。

　やむを得ない措置であることはわかるが、私からすると、これがいい方向に出るかというと、ちょっと疑問なのだ。今までの8月開催というのは、参加する側、出演する側とも、夏休みの時期であることが多く、地方のアイドルでも上京しやすいという側面があった。10月初めだとそのあたりの調整が難しいのではないかという懸念は感じる。

　また、昨年の台風19号のように、10月に日本上陸することもあるため、こちらも少々心配だ。そして、個人的に一番案じているのは、あの灼熱の太陽の下でアイドルのライブに熱狂するという盛り上がり方が、10月の気候の中で生まれるのかという点である。

　こればかりは、実際に行ってみないとわからない部分であるが、今までとはちょっと雰囲気の違ったTIFになることは間違いないだろう。

　ちなみに、もう一つの大きなアイドルフェスである『＠JAM EXPO』については、8月28～30日の3日間、横浜アリーナで開催されることが決まっている。オリンピックが終わるまでの間、大きな会場が使えなかった反動で、この時期からコンサートなども集中的に行われるのではないだろうか。

　オリンピックについては、ちょっと意地悪な楽しみ方も紹介しておこう。昨年のラグビーのように、何か大きなイベントがあると、それに乗っかってくるアイドルというのが必ず出てくるものだ。今年は、オリンピックがあるので、それに絡めたアイドルグループが出てくるのではないか予想する。例えば、メンバーごとに「担当競技」が決まっていて、オリンピックではその競技を応援するなどというのもありそうだ。もちろん、本当にその競技に詳しい人もいるだろうが、キャラ付けのためにつけ焼刃で知識を得ている人も多いだろう。トークなどの時にどこまで突っ込んだ話ができるかを注目してみると面白いかもしれない。

■2020年に注目すべきは大規模勢の覇権争い

　毎年、年末年始はアイドルの脱退や解散の報が多くなるのだが、今年も例外ではなかった。12月30日には、「Fullfull Pocket」が、4月4日をもって現体制での活動終了を発表、1月1日には「monogatari」が、2月16日で解散することを発表した。どちらも2015年に結成され、ファンも多くついていた中堅どころのグループだ。

　正直、メンバーの入れ替わりを繰り返すような大人数のところでない限り、活動して5年というのはひとつのハードルだと思われる。様々な施策もひと通りやりつくし、真新しさを出すのが難しくなってくるのだ。このクラスのアイドルグループが、新しく生まれ、一方で解散していくという流れは今年も変わらないだろう。

　そんな中で強みを発揮するのは、多くのグループを抱える大規模勢だ。

　昨年の『第61回日本レコード大賞』最優秀新人賞は「BEYOOOOONDS（ビヨーンズ）」が受賞したが、彼女たちが所属するハロー！プロジェクトなどは、常に新しいメンバー、新しいグループが生まれていて、土台が強いのが特徴だ。私の周囲でもBEYOOOOONDSにハマっている人は結構おり、これまでにないくらいの盛り上がりを見せている。楽曲の強さとパフォーマンスのクオリティでは他の追随を許さないだけに、今年もその動きに注目だ。

　一方、正統派のアイドルとはまた違った形で個性を出しているのが、BiSHを生み出したWACKである。年末には、『水曜日のダウンタウン』（TBS系）内で、安田大サーカスのクロちゃんの企画としてアイドルグループ「豆柴の大群」を生み出し、大きな話題となった。同じく昨年デビューした「CARRY LOOSE」や、第3期を迎えた「BiS」などと合わせて、どこまで総合力を発揮できるかが見ものである。

　もちろん、ももいろクローバーZを筆頭としたスターダストプラネット勢や、各48グループ、坂道グループも新たな戦略を打ち出してくることだろう。それぞれがアイドル界の覇権を争っていくことで、どんなうねりが生まれてくるか楽しみである。

　以上、ざっと2020年を予想してみたが、予想外のこと、予想を超えたことが起きるのが、この世界の面白さでもある。今年、みなさんがどんなアイドルに出会い、心揺さぶられるのか、それを心待ちにしていただきたいと思う。

（文＝プレヤード）